表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/371

春奈の不安と涙

全員が揃っての朝食が終わり、登校することになった。

そして、昨日の始業式以来の「定番」となってしまったようで、光が玄関を出ると、キャサリン、サラ、春麗、そして由紀が、光の周囲をガチッと固める。


どうしても入り込めない華奈は、落胆しきり。

「無理、すっごい実力差がある」


登校する場所が違う、既に大学生の由香利は

「卒業したのが残念」と言いながら、光にサッと「お弁当」を渡している。

おそらく、自分の部屋で作ったのだろうか。


それを見た、同じく大学生のルシェールは、焦った。

「やばい・・・私、またオットリとして考えもしなかった」

焦りついでに、由香利に「明日は私が作ります」などと、申し入れまでしている。


ソフィーは

「まあ、お弁当争いもあるんだ、これはこれは・・・」

と呆れる。


ただ、春奈は、それ以外のことで、落胆していた。

「まあね、お弁当は、光君に群がる女子高生たちが、どうしても作るって言ったから任せていたけどさ」

「でも何?光君が、朝ごはん二杯ってどういうこと?」

「確かにキャサリンの朝ごはんは美味しかったよ」

「でもさ、それじゃあ、今まで作ってきた私の立場って何?」

「日本人が和食で、アメリカ人に負けるってこと?」

「それにさ、光君に文句を言いたくてもさ、戦闘系の巫女と由紀ちゃんに囲まれちゃって、手も足も出ないって・・・」

「ああ・・・悔しいよ・・・なんか哀しくなってきた」


そんなことを思って、春奈が下を向き、トボトボと歩いていると、春奈の耳にキャサリンの声、おそらくテレパシーが飛び込んできた。


「春奈さん、そんなガッカリしないでください」

「今までの春奈さんの料理は、おそらく関西系、奈良の味付け」

「私が作ったのは、関東系、江戸の味付けです」

「参考にしたのは、光君のお母さんのレシピです」


春奈は、ここでもキャサリンに驚いた。

「本当に、完璧に読んでいる・・・容姿、料理に加えて気遣いもいいなあ」

そして、いろいろ考える。


「そうだね、光君は、奈良料理よりも、江戸前料理で育ってきたんだ」

「私も、朝忙しくて、つい関西風に作っちゃったな」

「昔、母さんに言われたけど、それを活かしていなかった」

「光君も、そうなると私の朝ごはんに満足していなかったのかな」

「朝ごはん二回の華奈ちゃんだって、江戸風の味付けだったら、違ったかもしれない」


また、不安も芽生えてきた。

「もしキャサリンだけじゃなくて、サラとか春麗も料理名人だったら、どうしよう」

「由紀さんも、由香利さんも、上手なはず」

「ソフィーだって、鎌倉魚料理の達人ニケの娘」

「華奈ちゃんはともかく・・・」

「光君に、春奈さんは、お役御免なんて言われたら・・・どうしよう」

そこまで考えて、春奈は涙ぐんでいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ