新たなる恐怖は地球壊滅の予感 光の目から光線が
「候補者巫女」たちは、楓がこれほど震えるのを見たことがない。
同じ血をひく「いとこ」ならではの、光の内奥を感じる力があり、それがとんでもなく「やばいこと」を感じてしまったのではないか、それが本当に気になる。
春奈も強い不安を感じる。
「ねえ、楓ちゃん、何が見えたの?」
「そこまで震えるって、怖ろしいことがあるの?」
春奈の不安は、他の巫女も、全て同じ。
全員が、緊張して楓の答えを待つ。
すると楓は、ますます震えた。
「おそらく次の闘いの相手というか、その対処なんだけれど」
「とんでもない相手」
「今回のは、毒菌、ウィルスで、大混乱を発生させ、光君の跡継ぎが出来ないようにするとか、生物のの跡継ぎ全体を無くすことによって、今ある世界を怖そうという相手だった」
「でも・・・」
楓は、必死に言葉を選ぶ。
「次の相手は、スケールが異なる」
そして、低い声でつぶやいた。
「地球そのものが、壊滅される」
ソフィーは、そこまで聞いて、さっそく観音力で分析開始。
そして、うめいた。
「輪郭はまだ。はっきりしていないけれど」
「まずは大恐竜の復活」
「とてつもない大隕石が、地球に向かう、しかも大量に」
「地底マグマの活動が、それにより、かなり活発化して、大地震や火山の大噴火が相次ぐ」
ソフィーの表情は、そこまでは赤かった。
しかし、その次に、楓と同じように蒼ざめた。
そして、力が抜けたような小さな声でつぶやく。
「・・・地球よりも、数倍大きな隕石が、超高速に地球に激突する」
「おそらく、今年の冬・・・」
このソフィーの透視で、全ての巫女の身体全体が硬直。
もはや言葉を発する巫女は誰もいない。
フラフラになっていた光が突然、口を開いた。
「あのさ・・・」
春奈が、さっと光の腕を取った。
「うん、光君、何が言いたいの?」
本当は、楓とソフィーが読んだ「恐ろしさ極まりないこと」を聴きだしたいけれど、光の体調は、まだ悪そう。
だから、とにかく出て来る言葉を待つしかない。
光は、息をゼイゼイ言わせながら、ようやく話す。
「まずは、演奏会のパーティーに」
「みんな、待ってる」
「指揮者が外すわけにはいかない」
楓が、少々落胆する巫女全員に声をかけた。
「がっかりする答えかもしれない、でも、言葉が出せない状態から、出せる状態に戻った」
「きっと、光君には、何か考えがあると思う」
「もちろん、阿修羅の意図もある」
「だから、光君を信じよう、阿修羅を信じようよ」
ソフィーが楓に続いた。
「光君の意識が少し戻ったということは、阿修羅の新戦力がダウンロードされ、インストールされたってこと」
「つまり、希望が宿ったということ」
光は、その言葉で、ようやくその目を開けた。
そして、さっきよりは、力強い。
「うん、何とかする、だから、次も協力して」
光の目から、キラキラと輝く光線が出た。
そして、その光線は、はるか天空の先まで続いている。
(完)
※ご愛読ありがとうございました。
現在、次作を執筆中です。
さらにスケールアップの展開となりますので、ご期待ください。