メデューサ、白蛇精、ソフィー、楓の会話
ソフィーがムッとする春奈の肩をポンと叩いた。
「いいから、邪魔しないの」
春奈は、「せっかく教えてあげたのに」と、まだ光の無粋さにムッとしているけれど、ソフィーに腕を引かれてしまった。
おまけに、楓まで、腕を引く。
「春奈さん、光君の邪魔しないで」
「そんなことより、面白いお二人が来ているの」
春奈は、そこまで言われては仕方が無い。
「いいや、後で、ゆっくり光君にお説教しよう」
「そして、光君がシュンとなったら、春奈さんがギュッと抱きしめて」
「よしよし・・・と慰める・・・うんうん、これもオツだ」
一応、自分では納得して、ソフィーと楓の後を歩く。
少し歩いて、舞台裏の奥には、楓の言う「面白いお二人」だろうか、確かに雰囲気のある美女と美少女が二人立っている。
しかし、春奈は、身体が震えた。
「え・・・何?あの人たちって・・・人なの?」
「近づくにつれて、身体がゾワゾワするんだけど」
ソフィーが小声。
「あのね、驚くかもしれないけれどさ」
「金髪の美女が、かのメデューサ」
「チャイナドレスの美少女が白蛇精」
楓がクスクス笑う。
「それでね、お二人さん、味方になったの」
「どういうわけか、光君のファンになったんだって」
「ねえ、全く・・・物好きだねえ」
「あんなひ弱で、アホで無粋の光君の、どこがいいのかなあ」
春奈は、思った。
「その通り、まさにひ弱でアホで無粋、でも、それが魅力」
ただ、そんなことを思っているうちに、メデューサと白蛇精の前についてしまった。
すると、メデューサと白蛇精は、ソフィーと楓、春奈に頭を下げた。
メデューサは、笑っている。
「あの邪宗の男と女は退治しました」
白蛇精も、にこやか。
「今は湖の底にいます」
ソフィーが解説する。
「つまりね、あの邪宗の男と女を邪念と悪念ごと、奈良氷室神社の氷の秘法で固めて、それをメデューサの石の中に封じたの」
「その石を、白蛇精の湖まで飛ばして、一番深い底に沈めてしまった」
メデューサ
「おそらく永久に氷は解けず、石も割れず」
白蛇精
「とにかく最深部、浮き上がって来ることはない」
メデューサは遠目で光を見た。
「とにかく光君のファンになってしまってね、奪うわけではなくてさ」
白蛇精も同じように、遠めで光を見た。
「横浜で誘っても、何の反応もないから、私では無理ってわかったんだけどね」
「そうなると、どんな女性が光君を射止めるのか、それに興味が湧いて来てね」
春奈は、話を聞いて「へぇ・・・」と言う感じ。
「うーん・・・難しいんですよ、やはりわかります?」
メデューサが、少し笑った。
「それをね、あの邪宗の総本部、真言立川流を操っていた総本部ね、今はクレタ島にに本部があるんだけど、刺客を送ってきて」
白蛇精が補足する。
「春奈さんも見たでしょ、足元に花束を置いた女の子」
春奈が頷くと、メデューサは笑った。
「光君が花束を受けて、どんな顔をするのかなあ」
白蛇精が、少し厳しい顔に変化した。
「おそらく、その時に、あの若い娘の素性が現れる」
ソフィーは、ククッと笑っている。