演奏会当日朝の光家 演奏会場付近に美少女集団出現
演奏会当日の朝となった。
光と巫女全員が朝食を終え、少しくつろいでいると、華奈のスマホにメッセージが入った。
華奈が、そのメッセージを見て、目を丸くする。
「あのね、同級生の女の子からなんだけどね、その子、今日の演奏会のホールの近くに住んでいてね」
とまでは言うけれど、それでは意味が不明。
楓が呆れ顔で、続きを催促する。
「だから、何なの?華奈ちゃん、光君を狙って、またモンスターでも出たの?」
華奈は、思いっきり首を横に振る。
「そうじゃないの、女子高生アイドルみたいな、メチャ可愛い女の子たちが、すっごくたくさん、500人くらいがバスで乗りつけたみたい」
似たメッセージは、同じく合唱部女子から、由紀のスマホにも、入っている。
ただ、由紀は理路整然と説明をする。
「全員が、学園の演奏会のチケットを持っている」
「とにかく、全員相当な可愛い女の子」
「周囲の人にも愛想を振りまいて、歌を歌ったりもしている」
「・・・その中には、また一人だけ、相当可愛い女の子がいる」
「でも・・・少し怖そうなヤクザっぽいお兄さんと、若い女性なんだけど妖しい色っぽい人がいて、仕切っているみたい」
その説明が終わり、ソフィーは柏木綾子に尋ねた。
「綾子ちゃん、わかる?その人たちのこと」
柏木綾子は、少し震えた様子で頷く。
「・・・はい・・・男の人は豊村さんって人・・・すごく格闘が強くて・・・」
「不思議な妖しい呪文とかもすごくて、宗教団体の組織でもトップクラスの人」
「それで、おそらく女の人は麻紀さん、豊村さんの・・・愛人で・・・」
「私の前に、生贄となった人」
「私は・・・」
柏木綾子の言葉がそこで止まった。
ただ、巫女たちは、柏木綾子の頭の中や記憶を途中から全て読んでいた。
「つまり、綾子は、麻紀って女に、何らかの言葉をかけられて、豊村が幹部をつとめる宗教団体、つまり真言立川流の寺に連れ込まれた」
「麻紀は、綾子の霊的能力の高さ、若さ、美貌、処女であることを見抜き、芸能人にさせてあげるとスカウトしたのかな」
「豊村も、綾子を見るなり、その資質の高さを認めた」
「そして、麻紀を放り出しても、綾子を儀式の生贄にしようとした」
「そのために、極道上がりや元プロレスラーの大男を使い、綾子の両親も拉致監禁、綾子との儀式成立寸前にまで至った」
「しかし、綾子は光に頼り逃げ出したし、綾子の両親も地蔵様の秘力で逃げられてしまった、これらのことは豊村も麻紀も理解していない」
「おそらく、若いアイドル並の美少女集団は、学園の演奏会を混乱に導くため」
ずっと黙っていた光が口を開いた。
「それにしても、気に入らない」
「運命と第九の演奏会を邪魔しようなんて」
「みんなが懸命に練習してきたベートーヴェンに失礼」
楓が光に声をかけた。
「光君、アイドルってわかる?」
「誰か知っている人いる?」
光は、全く答えられない。
「え?何?それ・・・」
「知らないし、興味ない」
それを聞いていた巫女たちが、少々呆れる中、柏木綾子が光に、にっこり。
「光さん、だって、ここにいる巫女さんたち、アイドル以上に可愛らしいし、楽しいんです」
「それからスタイルも抜群です」
「昨日は、一緒にたくさん食べて、お酒も飲んで、お風呂でよくわかりました」
巫女たちは顔を赤くするけれど、光は、それでも「意味不明」との表情になっている。