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大男の断罪

大男は、切り取った首四つを抱えた時点では、「いつものこと」で、平気だった。。


「ふ・・・俺を見てやがる・・・どいつもこいつも・・・」

「極道崩れを拾ってやって、飯を食わしてやっただけでも、ありがたく思え」

「おまけに、これ以上、組にも迷惑がかからないように、始末してあげるんだ」

「感謝こそされ、恨まれる筋合いはない」


しかし、その首四つに、不思議な異変が起きた。

何と、言葉を発し始めたのである。


「おい!そこのレスラー崩れ・・・」

「格闘は弱いくせに、凶器攻撃だけで、リングにあげてもらったんだろ?」

「道場じゃ弱いからなあ・・・」

「おまけに、博打で借金抱えてなあ・・・」

四つの首は、血を首から滴らせながら、ケタケタと笑う。


「レスラー崩れ」の大男は、首だけになった四つの「極道崩れ」に、笑われているけれど、

「何だと?こいつら・・・」

と震えるばかりで、何も言い返せない。


「その借金を、あの若い姉ちゃんに肩代わりしてもらったんだろ?」

「億だぜ、単位は、どこから工面したんだろうなあ・・・」

「ヤクか?ああ、それもあるなあ・・・」

「でもな、そればかりじゃねえぞ・・・」


言葉を話す四つの首は、ケタケタと笑う。

「若い姉ちゃんが、どこかの大企業の御曹司と寝てな、写真に撮って、暴行つきの恐喝」

「ああ、空手崩れもいたなあ、柔道崩れを使ってな」

「レスラー崩れのお前も見たことがあるだろう?」

「ああ・・・そいつらは、お前が絞め殺したんだっけな」


レスラー崩れの大男は、ますます震えあがる。

そして、その腕に異変を感じた。

「何だ・・・こいつら・・・馬鹿に重い・・・」

「腕が折れそうなくらいに重い」

「首を降ろそう・・・」

しかし、首が腕から離れない。


レスラー崩れの大男は、顔が蒼くなった。

何故か、四つの生首の顔が、別の顔、しかも自分の顔に変化したのである。

「え・・・全員が・・・俺の顔?」

「何故・・・」

「俺が死んでいる?」


四つの首の顔は、また変わった。

「何?これは親父の顔・・・」

「うわ!おふくろの・・・」

「何だと?女房?」

「・・・これは娘だ・・・」


レスラー崩れの大男は、あまりのことに、半狂乱。

しかし、四つの首を、床に降ろそうにも、腕からまったく離すことができない。

そして、四つの首は、ますます重くなる。


「腕が・・・折れる・・・」

脂汗も滴ってくる。

しかし、この時点で、腕は使えそうがない。


「何とか逃げる・・・」

腕の上の四つの生首は、仕方がないというか、どうしようもない。

レスラー崩れの大男は、そのまま、歩きだした。


すると、突然、本堂の床が、また開いた。

さっき、四人の極道を投げ込んだ、そして「焼却」した本堂下の焼却炉が見えている。


「え・・・何故・・・何の操作もしていない・・・」

レスラー崩れの大男は、焦った。

しかし、その足は止まることはない。


「うわー・・・」


レスラー崩れの大男は、悲鳴とともに、本堂下の、火が燃え盛る焼却炉に落ちていった。


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