ソフィーと春奈の相談
光(阿修羅)とソフィーの特別の会話は、「若く美しい呪術者の女性が、着実に光君に近づいている」で、一旦、終わった。
ソフィーは、かなり不安を感じるし、思うこともある。
光の家に入り、夕食後、巫女たちの中でも、「大人」の春奈に、相談をかけることにした。
春奈は。腕を組んで難しい顔。
「そうかあ・・・それは怖いよねえ」
「命の根源となる生殖機能を断つような術か」
「それは、光君を倒した瞬間から、急速に世界中に?」
「真言立川流か・・・」
「そんな術者がいるんだ」
「若くて美しい女性だけじゃないね。強力な呪力を持つ」
「それが光君に着実に近づく・・・」
ソフィーは、光の特殊性に言及する。
「とにかくさ、光君って、不思議だよね」
「あの年齢で、グラビアモデルとか、アイドルに何の興味も示さない」
「ルシェールに抱き付かれて唇を奪われても」
「・・・私は抱きかかえられたけれど、何の音沙汰も進展もなし」
春奈の顔を見た。
「春奈さんと、一晩、同じベッドで寝ても、何もないし」
春奈は、難しい顔。
「押さえつけても、泣いているだけ」
ソフィーは、春奈が可哀そうになった。
「春奈さんだって、光君のそういう部分が不安だったんでしょ?」
「由紀ちゃんが、裸で抱き合っても、ただ赤くなるだけ」
「由香利さんが、お風呂で全てを脱いで迫っても、何の進展もない」
春奈は、涙が出て来た。
「心を閉ざしているんだよ、そういうことに対してね」
「それもこれも、お母さんの事件以来だと思うよ」
ソフィーも頷いた。
「そのお母さんが、霊体となって出てきて、許すと言っても・・・」
「光君は、自分を許さない」
「光君にとっての、光君は、あくまでも罪人」
「だから、心の底から、笑わない」
「いや、笑ってはいけないと、思ってる」
春奈が続いた。
「そんな光君だもの、ましてや恋愛とか、結婚なんて、絶対に無理」
「自分を許していないんだもの」
「女性に憧れるとか、愛を語るなども、許していない」
ソフィーは悲しくて仕方がない。
「いつも、表面的に笑うだけ」
「音楽の時だけ、顔が上気するけれど」
「それも、光君の全体で考えれば・・・」
春奈
「きっと、表面的に過ぎないさ」
「辛いし、可哀そう」
ソフィーは、哀しそうな顔から、厳しい顔に戻った。
「春奈さん、もう少し、真言立川流を調べて見るよ」
「それと、近づきある若くて美しい女性術者も」
春奈も頷いた。
そして、ソフィーに
「ねえ、このことは、圭子さんとかの母親巫女には、相談できるけどさ」
ソフィーも春奈の言いたいことがわかった。
「そうねえ・・・年下の巫女連中ねえ・・・」
「大丈夫と思うけれど・・・」
「心配なのが、約二名ほど」
春奈は、苦笑いをしている。