斎藤と楓が親密に 最終決戦に向けて
その斎藤と楓の様子は、他の巫女の注目を集めた。
さっそくヒソヒソ話が始まった。
春奈
「ふむ・・・美女と野獣という感じではない」
華奈
「大きな熊さんと小さな熊さん」
ルシェール
「ふーむ・・・気が合うのかなあ、仲良さげ」
ソフィー
「楓ちゃんが爆発しても、斎藤君なら耐えちゃうよね、包み込むかな」
由香利
「光君は、ヘキエキ、グッタリするけれど・・・」
由紀
「そうかあ、斎藤さんかあ、安心感タップリ」
キャサリン
「でも、これで光君のストレスが減るのでは?」
サラ
「うーん・・・でも、光君、楓ちゃんに気を使ってないよ、さっきだって、ふっくらしてるほうがいいとか、熊さんみたいって」
春麗
「光君は、楓ちゃんだけでなくて、女性を女性として見ていないの」
「まあ、無粋、誰が迫っても、逃げちゃう」
斎藤と楓の「親密話」から、思わぬトバッチリを受けている光は、黙々と由紀の焼いたステーキを食べている。
光
「由紀ちゃん、ステーキ上手だね」
由紀はにっこり。
「心を込めて焼きました、相模牛だったから」
光
「寒川様にも参拝したいなあ、大好き」
由紀の顔が赤くなる。
「うん・・・来て欲しい、できれば一人で」
光
「うーん・・・そうしたいんだけどねえ・・・」
由紀
「・・・難しいかな・・・」
光は話題を変えた。
「遊行寺にも行きたいなあってね」
由紀は目を丸くした。
「え?あの?藤沢の?一遍上人の?」
光はにっこり。
「踊念仏だよね、浄土の流れ、時宗」
ソフィーが光と由紀の会話に乱入してきた。
「ねえ、光君、そこの遊行寺に何かあるの?」
光は、ステーキ肉を飲み込もうとしている。
「うん・・・」
と言って、なかなか飲みこめない。
その光に、由紀がさっと冷たい水。
ようやく肉を飲み込んだ光は、由紀にお礼。
「助かった、さすが由紀さん」
由紀は笑うけれど、ソフィーは気に入らない。
「だから光君!遊行寺に行って何をするの?」
ついつい口調がきつい。
光は、そんなソフィーに笑う。
「いや、難しいことはないさ」
「一遍上人の心を味わいたいなあって思った」
「国宝の一遍上人の絵巻もあるし」
そこまで話して、光の目が輝きだした。
それには食べる一方だった他の巫女も身構えた。
光は目を輝かせながら、宙を見るような表情。
「そろそろ、あの三尊にも出て来てもらおうかなあ」
「そして、それが、ベルゼブブとの最終決戦」
光は目を輝かせて、もう一言。
「全てを遍く・・・救いたい」
光の目の輝きは、目から出て、光の身体全体をおおっている。