ワンボックス車の中では、様々
光の一行を乗せたワンボックス車は、東京駅で奈良から来た楓を乗せた。
楓は、ワンボックス車に乗り込むなり、光の隣を独占、そして、いつもの文句を言い始める。
「まあね、光君が改札口でお出迎えは当たり前なの」
「それにしても、車に乗ったらお茶とお茶菓子くらいは出さないとね」
「わざわざ、奈良から来てくれてありがとうって言うだけでしょ?」
「それは形に示さないとねえ」
その楓に春奈が対抗する。
「結局、楓ちゃんへのお礼って、食べたり飲んだりすることなの?」
華奈も続く。
「すっごいよ、そのお尻、光さんが窮屈だよ、それじゃあ」
珍しくルシェールも文句。
「どうしてコロッケとお稲荷さんを、同時に口に入れるの?」
「口に入れば、何でも美味しいの?」
ソフィーはもっと厳しい。
「お昼は鉄板焼きにするけれど、楓ちゃんは野菜だけにしようか?」
「圭子さんから、是非それでって言われているしさ、でも可哀そうだから、お肉も食べさせてあげようと思ったけれど、やめる」
楓は「母圭子のお願い」時点で、ほぼ陥落、勢いもなくなってしまう。
しかし・・・ここで光がまた、無粋発言をしてしまう。
「楓ちゃんは、ふっくらしているほうが可愛い」
「熊さんみたいで、見ていて楽しい」
「だから、そんな体重とか体型とか気にしないで、たっぷり食べようよ」
「お肉もアイスも、ああ、そうだ、ごはんもたくさん」
この言葉で楓はガッカリ。
「ふっくら?熊さん?それが18歳の女の子に言う言葉?」
「もーーー!最低!」
他の巫女たちも、呆れた。
「マジで、アホ」
「乙女心を何もわからない」
「栄養学のカケラも理解していない」
・・・・多すぎるので省略。
その、光の一行を乗せたワンボックス車が、立ち合い会場に近づくにつれて、警官の数が増えてきた。
それと同じくらいか、もう少し多く、スーツ姿の男が増えている。
由香利が、光に声をかけた。
「彼らは、親父の子分」
「髪型も一般人風にしてもらった」
「親父は、いつもの和服」
華奈が尋ねた。
「どうしてそこまで?」
ソフィーの顔が厳しい。
「その実態は、テロリストかもしれない、国際的なね」
「もしかすると、小さな鞄に爆発物を入れてあるかもしれない」
光の顔も厳しく変化。
「鳥神カルラが上空で監視を続けている」
「爆発物を感知したら、サカラ神が清浄雨で消し去る」
「大騒動になったら、神も人も天使もなく、相手を叩きのめすのみ」
立ち合い会場、坂口が指定した大きな道場が見えてきた。
入口に坂口が立って待っている。
光が真っ先にワンボックス車を下りると、坂口が駆け寄って来た。
「わざわざ、すまないね、光君」
光は、首を横に振る。
「格闘はともかく、薬とか爆発物の仕掛けが危険」
「その対策は、ソフィーと由香利さん、それから八部衆に頼んだ」
巫女たちの表情も厳しくなっている。