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ブラジリアン柔術の悪用手口、薬師如来の真言

「斎藤さん!」

光は、大声を出して斎藤に走り寄った。


「光君、みっともない姿で、ごめん」

斎藤は、その言葉通り、辛そうな顔。

かなりな痛みがあるようだ。


「どうしたんですか?」

春奈も心配でならない。

あのオリンピック候補の強い斎藤がこんな姿になっているのが、全く信じられない。


華奈は、泣き出した。

「斎藤先輩・・・可哀そう・・・」


校長が出てきた。

そして光たちに声をかけた。

「とにかく光君と、春奈先生は斎藤君と校長室に」

「ソフィーもお願いします」

「他の学生は、教室に」



光、春奈、斎藤とソフィーは、校長室に入った。


校長がおもむろに口を開いた。

「光君も、坂口さんから、少しは聞いていると思うけれど」


光は頷く。

「はい、ブラジリアン柔術の人たち、その中でも悪意を持つ人たち」

「ブラジリアン柔術を悪用しようとする人たちのことですね」


ソフィーが斎藤に尋ねた。

「斎藤君、その怪我はそのブラジリアン柔術とのこと?」


春奈はじっと斎藤を観察して斎藤に尋ねる。

「左足首靭帯損傷、右ひじ靭帯断裂ってところかな」


斎藤は、ソフィーと春奈に頷いて

「はい、昨日、大学の道場に彼らが突然現れて」

「道場破りです」


光の目が輝いた。

「斎藤さんは・・・負けていないよね・・・」


斎藤は、驚いた。

「うん・・・試合では勝っている」

「ただ、油断した」

「動画もある」


斎藤の言葉と同時に、校長室の壁に白いスクリーン。

大学の柔道場と二人の選手が映し出された。

一人は、斎藤で白い柔道着、もう一人はおそらくブラジリアン柔術で青い柔道着を着ている。


試合が始まった。


斎藤の動きが速い、一瞬の出足払いで、ブラジリアン柔術の選手を倒し、上から袈裟固めで抑え込む。

「技あり」と抑え込み15秒が経過、これで斎藤の「一本勝ち」のはず。


・・・しかし、下になったブラジリアン柔術の選手が、斎藤を離さない。

斎藤が抑え込みの力を抜いた途端に、下から右ひじを極めてしまった。


「何をする!」

他の選手が駆け寄って斎藤とブラジリアン柔術の選手を引き離そうとするけれど、ブラジリアン柔術の選手は、極めたまま離そうとしない。

その上、他のブラジリアン柔術の選手が、ドサクサに紛れて斎藤の左足首を捩じっている。


斎藤は悔しそうな顔。

「確かに油断、しかし、あんなことをしてくるとは・・・」


光は、かなり厳しい顔。

「ただの人間破壊の技に過ぎない、武道でもスポーツでもない」

「こんな輩には、容赦しない」


光は春奈の顔を見た。

「頼めるかな」


春奈が頷くと、ソフィーも光の顔を見た。

「春奈さんと一緒にやるよ」


春奈が斎藤の右ひじ、ソフィーが左足首に手を添えた。


「オンコロコロ センダリマトウギ ソワカ」


薬師如来の真言が、春奈とソフィーから、発せられている。


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