春奈の嫉妬、光を押し倒す。
ブラジリアン柔術対策の打ち合わせも終了し、隣のアパートを使っている巫女たちは、全員自分の部屋に戻った。
そうなると、光の家には、光と春奈の二人だけになる。
春奈は、光に声をかけた。
「ねえ、光君、回復したの?」
ルシェールの胸で癒されたとはいえ、まだ気になって仕方がないし、ちょっと不機嫌。
光は、柔らかな笑顔。
「うん、船の上よりはマシ」
「ルシェールには、大感謝だね」
春奈は、気に入らない。
「ふーん・・・そんなにルシェールの胸がいいの?」
「そうよねえ、きれいだし、ふっくらしているしさ」
「ルシェール、やさしいしね」
そう言いながら、少しずつ、光にスリスリ。
光は、慌てた。
「えっとね・・・ルシェールは、昔からそんな感じで」
「子供の頃からだし・・・」
その言葉も、シドロモドロ。
春奈は、さらに光に密着。
「そんなこといってもさ、私、子供の頃の光君、知らないしさ」
「ちょっと気に入らない」
少しずつ、本音が出てきた。
光は、身体が硬直し始めている。
その光を春奈が、またネチネチと言葉責め。
「由香利さんとお風呂に入ったんでしょ?」
「どうだったの?きれいだったでしょ?」
「私なんて、一度もないもの」
「キスもされたことないし」
「ハグだって、本当に、偶然とかさ、光君の気まぐれだけだもの」
春奈は、ネチネチと責めながら、いつの間にか光の背中に腕を回している。
光はアセリ、困った。
「あ・・・春奈さん、あのね・・・」
そうは言っても、次の言葉が出ない。
というより、何も考えていない。
春奈は、光のそんな様子が、また気に入らない。
「光君、私のこと、大年増とか、おばさんって、思っているでしょ」
「相手にならないとかさ」
「そうやってさ、どうして差別するの?」
言葉がトゲトゲになってきた。
光は、もはや、どうにもならない。
「そんなこと思っていないって」
「春奈さんのこと、信頼してるしさ」
春奈は、まだ気に入らない。
「信頼しているだけなの?」
「ただの、信頼できる同居人ってだけなの?」
春奈のトゲトゲ言葉は、まだ続く。
光は、そこまで言われて、ようやく春奈の背中に腕を回す。
春奈は、その遅さに、また文句。
「この亀!どうして、そうオクテなの?」
「私が腕を回した段階で、光君も回すの」
「しょうがないなあ・・・」
光は、だんだん、シュンとしてきてしまった。
「春奈さん、なんか、怖い」
「どうして、そんなに怒るの?」
春奈は。そんな光の下を向くような弱気な態度も、気に入らない。
ついに、一言が出た。
「うるさい、ゴチャゴチャ言わない!」
春奈は、光を思いっきり抱きしめ、押し倒してしまった。