敵は胆石、尿管結石を誘発する薬を売りつけている
光の目が恐ろしく輝きはじめるのは、阿修羅出現の兆しとなる。
そのため、巫女全員に緊張が走る。
と、同時にモニターの大画面に、楓が再び写った。
光、いやおそらく阿修羅は、話を続ける。
「そのアヤシイ薬は、どうやら飲んでも、すぐには薬効が出ない」
「だから、飲んだというか、買わされて飲んだ連中も、ただ、道場破りに負かされて、変な薬を売りつけられてしまったとしか、考えない」
「しかし、次第に、とんでもないことが、その飲んだ人の中に起き始める」
光は、そこまで言って、まず春奈、そして楓の顔を見た。
光は、春奈に尋ねた。
「春奈さん、胆石って知ってる?」
「それとか、尿管結石とか」
春奈は、即座に頷いた。
「うん、まず胆石はね、肝臓から分泌される、胆汁の成分が固まって胆嚢内・胆管内に溜まったもの、それが結石」
「尿管結石は、腎臓で形成された結石が、尿管内で通過障害を起こす症状」
「どちらにしろ、メチャクチャに痛い、同じ姿勢を取り続けられない程」
「基本的な原因としては、生活習慣かなあ、コレステロール値が高い人とか、お酒飲みで不健康な人とかかなあ」
楓が光に尋ねた。
「ということは、そういう人が増えるってこと?」
光は、コクリと頷く。
「春奈さんの言う通り、基本的には生活習慣で発生する病気なんだけど、今回のブラジリアン柔術の人が売りつける薬には、結石を誘発する薬効が含まれているみたいなんだ」
春奈は、深刻な顔になった。
「そうなると・・・光君、急いだほうがいいかなあ」
楓も、厳しい顔。
「わかった、光君、薬草を調べてみる」
そして付け加えた。
「ふざけんじゃないっての、そんないかがわしい薬を売りつけるなんて」
「マジで性格が悪い」
「光君、そんなブラジリアン柔術なんて、コテンパンにしてかまわない」
光
「それでね、楓ちゃん、来週の土日でいいかな。お迎えに行く」
楓は、まだ厳しい顔。
「うん、必ず行く、部屋は任せる」
キャサリンが光に尋ねた。
「ねえ、光君、そうなると、土曜日か日曜日に、そのブラジリアン柔術と光君が立ち会うの?」
光は、素直に頷く。
「うん、僕と、金剛力士が立ち会いたいって、二人ともメチャクチャに怒っていたし」
春麗も光に声をかけた。
「ねえ、光君、私も立ち会いたい、中国拳法を試してみたい」
春麗の目は、かなり光っている。
春麗の次にサラ。
「光君、私も立ち会う」
サラの顔も厳しい。
「人を苦しめる石となると、メデューサの意図を感じる」
「私は、オリンピアのボクシングで叩きのめしたい」
そうなると、キャサリンも黙ってはいない。
「光君、私も立ち会います、ヨーロピアンレスリングの伝統を持って」
キャサリンも、気合十分な様子。
光が巫女全員を見回した。
「思いっきり、叩きのめそうと思っている」
「とにかく、悪辣な手口らしいんだ」
光の表情は、いつになく厳しい。