新たなる敵と楓の接点?
光に「東京ご招待」を受けた楓は、うれしくて仕方がない。
そのため、食欲が、さらに増したのだろうか。
お稲荷さんを、もう一つ食べようとするけれど、後方から圭子の声。
「楓!私の分まで食べないでよ!」
かなり厳しめの声・・・と同時に、モニターから楓の顔が消え、電源も落ちた。
春奈はリゾットを食べながら、しっかり観察していた。
「楓ちゃん、コロッケ二つとお稲荷さんを二つ食べてた」
「ふふん、圭子さんに叱られて、モニター電源を切られて、いい気味だ」
華奈は、楓のその後を予想した。
「二重あごが、きっと三重あごになる」
「いくらなんでも、食べ過ぎだもの」
ルシェールは、ホッとした。
「マジでうるさかった、今度耳栓買って来よう」
「あんなことを言うから、光君は逃げ出すの」
由香利は、また違う。
「お稲荷さんって、そんなに食べられる?」
由紀は、考えた。
「種類が多いって聞いたけれど、何が入っているのかな」
キャサリンは、冷静。
「お稲荷さんも好きですよ、私」
サラも頷く。
「そうなの、外国人にも人気が出ていますよ、おにぎりよりボリュームある」
春麗も、その話に乗った。
「中華風の味付けでお稲荷さん、できないかなあ」
そんな話の中で、ソフィーが光に尋ねた。
「ねえ、光君、楓ちゃんを都内に呼ぶの?」
その光はリゾットを口に入れたところ。
「うん・・・あのね・・・・」
モゴモゴして、よくわからない。
おまけに口を抑えている。
春奈は、その光の状態をすぐに察知。
「ほら!うかつに食べるから!」
「熱かったんでしょ?口の中火傷したの?」
光は、首を横に振るけど、ロクな答えではない。
「火傷・・・ちょっとだけ」
その光らしい、「間抜けな」答えに、ソフィーが、怒った。
「あのね、光君!ルシェールの胸で、ホンワカしているのは仕方ないけどさ」
「このリゾットは巫女さん全員で、光君のためにって、心を込めて作ったの!」
「呆れてものが言えない!マジでウカツでアホ!」
ソフィーの質問は、途中から光のアホさ加減への責めに変わってしまった。
華奈が、頭を抱えて、光に尋ねた。
「ねえ、光さん、楓ちゃんに何の用事があるの?」
「私たちでは、間に合わないの?」
「楓ちゃんの、どんな力を使うの?」
光は冷たい水を一口含んで、ようやく話ができるようになった。
「あのね、みんな知っているかなあ」
「ブラジリアン柔術とかっての」
「それをね、坂口さんが、僕が立ち会う姿を見たいって言うの」
春奈が、途端に文句顔。
「そのブラジリアンなんとかと楓ちゃんって、何の関係があるの?」
その春奈の文句は、全ての巫女も同感のようだ。
一斉に、強い視線で、光を見つめることになった。
光は、強い視線に少々、ウロタエながら、ようやく少し詳しい説明。
「あのね、そのブラジリアンなんとかってのが、腕自慢、強さ自慢でね、あちこちの道場荒らしをしているみたいなんだ」
「それだけなら、まあ、いいんだけど」
ここで、光の顔が真面目顔に戻った。
「何でも、南米産のアヤシイ薬を道場荒しで、倒した相手に強制的に売りつけるらしいんだ」
「・・・で・・・その薬を調べたところ・・・」
そして、光の目が、恐ろしく輝き始めている。