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ルシェールの涙の包み込みと光

リビングで巫女たちが様々な話をしているけれど、光はルシェールに包まれて眠っているだけ。

その光の背中をなでながら、ルシェールは様々思う。


「光君も、いろんな闘いをやってきて、今度はメデューサか」

「下手をすると、光君は石にされてしまうの?」

「阿修羅がそんなこと、させるわけないし」

「聖母マリア様も、他の御神霊も、そんなことを認めるわけがない」

「光君が後継者なしで息絶えたら、この世は、また深い暗黒に包まれる」


ルシェールは、光をグッと抱いた。

「私、光君の子供を宿したい」

「光君の子供を生みたい」

「光君と一緒に育てたい」


涙が出てきた。

「決して、光君みたいな、哀しい想いを、その子に与えたくない」

「可哀そうすぎるもの、光君」

「今でも、実は、自分を責めているんでしょ?」

「自分の心に、杭を打って、血を流しているんでしょ?」


「・・・それで・・・あんな激しい闘いを繰り返して・・・」

「最近は、他の御神霊も心配して、直接戦闘は減って来たけれど」

「それは、光君の心が癒えていないことが、心配なため」


「そんな自分を責めちゃだめだよ、光君」

「自分で自分を傷つけない、滅ぼしてはならないって、聖書にも書いてあるの」

「そんなの、神が嘆くよ」

「みんなが嘆くよ」


ルシェールの涙が止まらなくなった。

「どうしたらいいの?」

「どうしたら、光君、心の底から笑ってくれるの?」


「光君は・・・心に深い傷を負ったまま、生きていかなければならないの?」

「光君に、何の罪も責任もないのに・・・」

ルシェールの胸は、ますます光の顔を包み込む。


光が、少し動いた。

ルシェールは、胸の中で、光の口が「モゴモゴ」と動いているのを感じた。


「光君、起きたの?」

聞いてみるけれど、「モゴモゴ」と動くだけ。


光は、少し手を動かし始めている。


ルシェール

「ねえ、起きる?」

ルシェールは、ようやく光を抱く腕の力を緩めた。

と、同時に、光の顔が、ルシェールの胸から、少し離れた。


「ルシェール・・・苦しかった」

光の、ゼイゼイとした声が聞こえてきた。


ルシェールは、涙顔が一変、真っ赤になった。

「あ!ごめん、光君、ついつい・・・」


光はルシェールの胸に包まれ、呼吸困難だったようだ。

まだ、ゼイゼイがおさまらない。


それでも、光はようやく言葉らしいことを言う様子。

息を切らしながら、


「ルシェール・・・ありがとう」

「ルシェールの胸、気持ち良かった」

「でも、最後は、苦しかった」

「顔が全部、包まれちゃった」

光は、少し笑う。


ルシェールは、うれしさと恥ずかしさで、どうしたらいいのか、わからない。

「もう!光君!」

結局、また光を包み込んでいる。


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