光の超ボケミス
さて、光と春奈、華奈、ソフィーは校門に到着した。
光は、いつのまにか目から輝きが消え、普段のボンヤリ顔に戻っているけれど、三人の巫女は、どうにも不安顔。
春奈
「うーん・・・何か、ドキドキする」
ソフィー
「世界でも最高峰の呪力を与えられた三人の高校生?何かすごそう・・・」
華奈
「もし美形でスタイルよくて料理が上手だったら、これはヤバイ、その上呪力?」
そんな状態の三人の巫女のところに、由紀が寄ってきた。
そして、由紀も表情が変わっている。
由紀が
「何かね、学園全体に、ものすごい呪力を感じるの」
「今年から由香利さんが卒業してしまったから、結界が弱まるかなあと思っていたけれど、ますます強くなっているの」
と話しかけると
春奈
「さすが由紀ちゃん、感づいていたんだ」
ソフィー
「そうだね、ただならない事態だね、すさまじい呪力だよ」
とまでは、普通の反応になるけれど、やはり華奈は反応の種類が異なる。
華奈は、もう大変なアセリ顔。
顔を真っ赤にして、知り得た情報を口にする。
「あのね、由紀さん、これはきっと新しいライバルの出現なの」
「ようやく由香利さんが、学園からいなくなってホッとしたのにさ・・・ますます大変、超強力な巫女が三人もって」
「ねえ、全く・・・阿修羅は意地悪だ」
「どうして、私の恋路を邪魔するのかなあ」
と、最後は結局、自分の恋路を主張するのだけど、光はいつの間にか、先を歩いている。
その姿を見た春奈
「やはりアホで鈍感な光君だ、これはこれで安心かもしれない」
ソフィーも春奈の思いをすぐに理解した。
「戦闘とか音楽はともかく、女性には亀だ」
由紀もその意見には同調した。
「全くその通り、亀というよりは、芋虫に近い」
華奈も、フンフンと頷きながら
「ねえ、全く・・・あの亀人間のために、妻としてどれほど苦労が絶えないことか」
ただ、華奈の意見については、いつもの通り、巫女全員から無視されている。
さて、巫女たちの、そんな雰囲気など一切無関心な光は、校舎に入ってから、また別次元のことで、さっそくミスをおかしてしまった。
そのミスとは、今日から三年生の教室に入るべきところを、つい昨年までの二年生の教室に入ってしまったことである。
そして、光もこれには首をかしげた。
「あれ?何だろう、去年まで同じクラスだった人が誰もいない」
「おかしいなあ・・・みんな学園をやめちゃったのかな」
「うーん・・・これはおかしい・・・みんな笑っているんだけどなあ・・・」
「顔は見たことあるけれど、別のクラスの人だよね・・・」
ただ、光は困惑しているどころではなかった。
まず、華奈が飛び込んできた。
「もーーー!光さん!妻に恥かかせないでよ!学年の違いくらいは認識して!」
次に由紀も飛び込んできた。
「どうして、三年生になったって自覚がないの?そんなことばかりしているから、妻でも何でも無い華奈ちゃんに叱られるの!」
と、文句を言って、そのまま光の腕をグイッと組み、ズルズルと三年生の教室まで、光を引きずっていく。
いつの間にか、春奈とソフィーも来て、その様子を見ていた。
そして出てくる言葉は、「呆れと落胆」以外には何もない。
春奈
「アホとしか言いようがない」
ソフィー
「これは、一緒に住んでいる春奈さんの教育不足かもしれない、あまりにも甘やかしすぎ」
春奈
「ふん!そんなこと言って、代わりに住むなんて絶対認めない」
ソフィー
「それにしても、情けない」
春奈
「マジで頭が痛くなってきた」
華奈も、あまりのことに、頭を抱えている。