ルシェールの胸で眠ってしまった光
由香利が、光の顔を見て、少々気落ちしている。
「呪法とはいえ、刺激が強すぎたのかな」
そんな由香利を春奈が、慰める。
「しかたないよ、必要な呪法だったんだから」
「でも、同じお風呂に入って、由香利さんは元気で、光君が湯あたりって、情けない」
「体力不足を反省するのは光君のほうなの」
ソフィーも難しい顔。
「光君には、確かに刺激が強かったかもしれない」
春奈は思い出した。
「うん、光君、女性の裸とか、PCにも何もない」
「グラビアアイドルの画像も見ない」
ルシェールも、光のPCの探索をした一人。
「見慣れていないから、急に見ると、パニックになるのかな」
春奈は、また思い出した。
「一緒に住み始めたのは去年の夏ごろ、私がお風呂上りで露出の高い姿でいても、全く見ないし、反応もなかった」
「それはそれで、気に入らなかった」
由紀も、光の前にきた。
「中学生の頃からだけど、水泳大会でも、いつも、ボンヤリしているというか」
「まあ、ほとんど、途中で倒れていたけれど」
春奈は、由紀の顔を見た。
「中学生の頃から倒れたの?」
由紀は頷く。
「太陽の下は苦手みたい、グラウンドでも、屋外プールでも、ほとんど倒れていました」
「それを運んだことも何度も」
華奈は、ルシェールの胸に顔をつけて眠ってしまった光をじっと見る。
「気持ちよさそう・・・というか、ほぼ意識がないかも」
「いつもの闘いの後と同じ」
光が、ほぼ意識がないので、豪華クルーズ船での宴会は、お開きになった。
様々な御神霊も、いつの間にか姿を消し、光たち一行は、再びキャデラックで杉並の家に送られることになった。
キャサリンも心配そうな顔。
「それにしても、起きませんねえ」
サラは、少々、嫉妬の顔。
「確かに、ルシェールの胸は気持ちがいいのかなあ、フックラとしてきれいだし」
春麗は、苦笑い。
「うーん・・・それだけは、かなわない・・・でも、癒しの胸だよね」
ソフィーも、その春麗の言葉には頷く。
「光君が、子供の頃から、それは同じ」
「楓ちゃんにいじめられると、ルシェールの胸に飛び込む」
「ルシェールは、そうなると、楓ちゃんが怒っても、華奈ちゃんが泣いても、決して離さない」
「・・・だから、結局、ルシェールが最強とか、最短距離って言われてきたの」
「何度も、命を救ってきたしね」
ルシェールは、本当にやさしく光を抱えている。
「疲れちゃったんだよね、光君」
「すごい闘いだったし」
春奈がルシェールに声をかけた。
「ルシェール、今夜は光君にずっと付き添ってあげて」
「添い寝でもいいよ、任せる」
ルシェールは顔を赤らめ、他の巫女たちは仕方がないという顔。
ただ、華奈だけが、涙目になっている。