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江戸の大親分のお礼口上、次はメデューサ

大きなキャデラックには、光と全ての巫女が乗り込んだ。

もちろん由香利の父、江戸の大親分も乗り込んでいる。


まず、そのキャデラックの中で、江戸の大親分のお礼の口上がはじまった。

「まずは、車の中ではございますが、光様、そして巫女様方に、深く感謝をいたします」

「何分、我が一家、そして人間の力では、とうてい対処できなかった恐ろしい相手、本当に助かりました」

「東京湾、我々から言えば豊穣な江戸の海、そして隅田川も、これほどきれいに浄化され、また、この地から毒を世界に拡散するなどの、失態を防ぐことにもなりまして、感謝してもしきれないほどなのです」


「本当に、実にささやか、光様を筆頭に皆々様方の御尽力には、とうてい及びもつきませんでしょうが、わが一家それから江戸の仲間が一体となって、出来うる限りのお礼をさせていただきとうございます」


長々と、江戸の大親分の口上は続く。

光は、まだ少々ボンヤリとしているので、由香利が腕を組んで、その身体をささえている。


それでも、学園の教師である春奈が、光の脇をつつく。

「光君、由香利さんにデレデレし過ぎ!」

「光君も何か話しなさい!教師命令です!」

誰が聞いても、言葉にトゲがあるけれど、他の巫女たちは、「当然、もっと言って!」となり、光を厳しい目で見続ける。


光は、仕方ないと思ったようだ。

由香利にもたれかかっていた身体を少し起こして、話しだす。

ただ、話しだした声や内容は、厳しい。


「今回の敵は、江戸つまり東京の混乱を狙った悪神ベルゼブブの、言うならばジャブ程度、ちょっかい程度に過ぎない」

「しかし、そんな程度であっても、これほどの大掛かりで対応することになる」

「阿修羅は当然、八部衆、伊勢大神、住吉大神、媽祖様、ポセイドン、ここにおられる巫女のバックにいる様々な御神霊たち、金剛力士、地蔵さんも含めて」

「おそらく、このような闘いを、あちこちの場所で、ジャブ程度にしかけてくる」

「こちらが、対応しきれなかった時に、一気に巨大なベルゼブブつまり蠅の神が登場して、その毒をまき散らす」


光の話す内容で、江戸の大親分や巫女たちの表情が厳しくなった。


光は、さらに話を続ける。

「ただ、今後は、水を媒介にしての、攻撃は、ないだろう」

「それほど住吉様と伊勢様の霊薬は、完璧にして強い」

「そして、その次に、困難を極める相手とは・・・」

光は、そこまで話をして、サラの顔を見た。


するとサラの顔が、ますます厳しく変化した。

「光君、やはり感じていたの?」

「彼女が迫っていることを」


光は、頷いた。

「うん、近いよ」

「どういう形で、攻撃してくるのか、今は八部衆に探らせている」

「彼らは、すでに人間に変化して、あちこちに出現したり、鳥神カルラは上空でそれを見守っている」


ソフィーが、慎重に口を挟んだ。

「ねえ、光君とサラ」

「もしかして、あのメデューサなの?」


光とソフィーは同時に、頷いた。

「その通り、東京湾と隅田川の混乱に乗じて、ギリシャ船に紛れ込んだ」

「恐ろしい悪神ではあるけれど」

光の言葉に少し間があった。


「それもあって、ポセイドンにも来てもらった」

「・・・メデューサも、ポセイドンを追ったのかもしれない」


光の顔は、厳しい顔から、哀し気な顔に変化している。


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