更なる異変発生 地蔵、ポセイドンの出現
東京湾、隅田川周辺に、更なる異変と混乱が発生した。
古い軍歌がどこからともなく、響いて来た。
これは、道を歩く人たち、そしてオフィス内にいる人、JRや地下鉄にいる人にも、聞こえている。
「え?何で?突然?」
「軍歌が突然、ギャンギャン流れるって、どういうこと?」
「電車のアナウンスも全く聞こえない」
また、突然の火事や目に見える情景から混乱が始まった。
「ねえ・・・外が火事?どこ?」
「うわ!煙がすごい!
「空が赤く光って!」
「えーーーー?爆弾?」
「サイレン鳴ってる!」
「敵機来襲?非難せよ?」
「防空壕?何?それ!」
「電車の窓を見て!」
「鬼畜米英?頭が半分ない人が、私を見て怒ってる!」
「私が何をしたっていうの?あなた誰?何で怒っているの?」
「血だらけ?火傷?そんな人が何故動いているの?」
「・・・あーーー!どうしたらいいの?」
「怖いよーーーー!」
東京湾、隅田川周辺の混乱は、拡大の一途となっている。
その混乱の中、突然、また異変が発生した。
天空から、そして地面から、清らかな鈴の音が響き渡った。
そして、東京湾の海面に、巨大な異形が二体、出現となった。
その一体は、おなじみの地蔵菩薩。
いつもの衣装に、いつもの宝珠と錫杖、異なるのは傘をつけていること。
そして、もう一体は、金剛力士と全く遜色がないほどの隆々とした肉体、右手には三叉の鉾、左手には魚網を持っている。
地蔵菩薩が、そのもう一体に声をかけた。
「さて、ポセイドン君、はるばる、ご苦労様」
「さきほどの霊鈴で、結界は完成した」
「あとは、思いっきり暴れてかまわない」
地蔵が連れてきたのは、海神ポセイドンだった。
「地蔵様、これは懐かしい日本の地」
「その麗しい日本を汚そう、荒そうとする悪神ベルゼブブ」
「しかも、日本を滅ぼしてから、世界に毒をまき散らそうとなどとの、不逞な輩」
「そんな痴れ者のタクラミはポセイドンとしても、見逃すことはできない」
「そのうえ、住吉様に加えて、媽祖様までお出ましになられている」
地蔵はそのポセイドンに、フッと笑う。
「あの阿修羅に、力をみせつけたらどうです?」
「今、阿修羅は、抑えつけてあります」
ポセイドンも、目を光らせて阿修羅の様子を探る。
そして、面白そうな、うれしそうな顔。
「ほほ・・・あの男の子ですか・・・」
「少し無理やりに、襲われていますな」
「確かに美しい住吉と・・・伊勢の巫女なんですね」
「そうなると、抑えつけられている間に?」
地蔵は、さらにポセイドンをけしかける。
「あなたのことを、海坊主なんて言っていました」
「この私も坊主ですが、金剛力士二体なんて、ゴツイおっさんとかね」
ポセイドンの顔が真赤になった。
「気に入らん!そこまで言うか!」
「地蔵様、戦闘開始しましょう!さっさと片付けて、阿修羅に猛抗議します!」
ポセイドンは、三叉の鉾を振り回し始めた。