巫女たちのわがままに疲れる光
光、由香利、ソフィー、サラ、春麗は、和室の大広間の扉を開けた。
巫女たちが、スリッパを脱いで畳に上がろうとすると、光が押しとどめた。
「あ・・・ちょっと待って」
そして、光は、扉に埋め込まれたスイッチを押す。
すると大広間の畳に変化が発生した。
由香利「え・・・マジ?」
ソフィー「何だって?どうして?」
サラ「畳がフローリングに回転してる」
春麗「ほーーー・・・すごい・・・」
光は、胸を張った。
「だって、畳だと作業しづらい」
珍しく自慢げな顔を見せる。
・・・が・・・しかし・・・
由香利「畳の方が好き」
ソフィー「そうだよね、歩きやすいしさ」
サラ「畳が楽しみだったのに」
春麗「やはり、女心を理解していない」
畳をフローリングに変えることが、「女心を理解していない」にどうして発展するのか、よくわからないけれど、光の自慢顔はあっけなく破綻となった。
そして光はブツブツ。
「下手に畳を出すと、そこでゴロリンされても困る」
「今は、大切な仕事の時」
「さっさと化学式と方程式を解明しないといけないの」
その光が、リモコンを持ち、何らかのボタンを押すと、壁一面がモニターとなった。
そして、大広間の中央、かつてはコタツがあった場所に、大型のテーブルが出現。
そのテーブルの蓋が持ち上がり、キーボードも出現した。
ここでも、光は自慢顔。
「さて、こっちのPCのほうが処理速度が速い」
「さっさと化学式と方程式を解明しちゃおう」
と、巫女たちに声をかける・・・が・・・ここでもスンナリと進まない。
由香利「ねえ、光君、珈琲飲みたい」
ソフィー「光君、淹れてくれる?」
サラ「うん、光君の珈琲は美味しい、コロンビアがいいな」
春麗「ウィンナ珈琲がいいなあ」
光は、本当に呆れた。
「この人たち、やる気あるの?」
「どうしてここで、僕が珈琲淹れるの?」
「コロンビアならまだいいけれど、ウィンナ珈琲って何?不純」
(光は、ストレート珈琲だけが正当で、ウィンナ珈琲のようなアレンジ珈琲は不純なものとして、認めていない)
光は、「ダメ、仕事を急ごう」と声をかけるけれど、
由香利「飲みたいよねーーーー!」
ソフィー「珈琲淹れるぐらいで亀にならないの」
サラ「手伝おうか?」
春麗「クリームあるかなあ」
由香利「クッキーも食べたい」
ソフィー「そうだよね、楓ちゃんみたいに、赤福は珈琲には合わない」
サラ「マカロンでもいいなあ、ピスタチオのマカロンがいいな」
春麗「こんがり焼きチーズも捨てがたい」
・・・・・
ずっと続くので、光はあきらめた。
「わかった、コロンビアを淹れるよ、サラちゃん手伝って」
「春麗、確かに大広間の冷蔵庫にチーズがあるから、そこのキッチンで焼いて」
「でも、ウィンナ珈琲みたいな不純な珈琲は出さない」
「クッキーはない、マカロンを買いに行っている時間はない」
結局、珈琲を淹れることになった光は、ちょっと疲れている。