光の無粋発言と怒る由香利
リビングで混乱を極める巫女たちとは全く無関係で、由香利と光は、二階の光の部屋でパソコン画面を見て、考え込んでいる。
光
「ねえ、由香利さん、この化学式が難しい」
由香利
「方程式の中に、アラム語が入るって、さすが阿修羅様だよね」
光
「うん、メチャ難しい、ソフィーを呼ぶかな」
由香利
「そうだねえ、ソフィーならわかるかも・・・でもさ・・・まだ後でいいよ」
光
「何となく楓ちゃんの声がしたよ、赤福がどうのこうのって」
由香利
「赤福ねえ、あの子、赤福好きだねえ」
光
「僕のパソコンじゃなくて、和室の大パソコンにするかなあ」
由香利
「ああ、処理速度が違う?」
光
「うん、面倒、あっちがいい」
と・・・ここまでは、まだ真面目な話だった。
由香利は突然、話題を変えた。
「ところで光君、光君のパソコンには、美少女画面はないの?」
光はキョトンとする。
「え・・・ない・・・」
由香利は、光を追求する。
「グラビアアイドルとか、見ないの?」
「普通、若い男の子は見るよ」
光は、困った。
「そうは言っても、そんな興味ないし」
「夜は眠いし」
由香利は、光の答えに呆れた。
もう少し責めたくなった。
「じゃあ、私が水着に着替えても興味ないの?」
言い終えて、「ちょっと恥ずかしい」と思ったけれど、光の反応がまたしても「イマイチ」、キョトンとなっている。
そして光の「無粋発言」が出た。
「え?由香利さんって、水泳部とかだったっけ」
「ダンス部だったと思いました」
「ダンス部で水着を着るの?」
由香利は、ここで呆れから落胆に変わった。
光は、自分が顔を赤くしてまで言ってしまった「私が水着に着替えたら」の本意を、全く理解していない。
そして、その落胆は怒りに変わった。
「あのさ、光君」
由香利の顔と言葉が厳しめ。
光は「え?」と、ちょっと引いた。
無粋な光も、少々は「叱られリスク」を感じたようだ。
由香利は厳しい顔。
「今回の水の邪霊を退治したら、仕上げで一緒に水に関係するところに入るの」
「水着かもしれない、二人とも」
光は、ますます引いた。
「え・・・マジですか?」
「それって絶対に?」
由香利は、ますます怒り顔。
「何?私の素肌を見たくないっていうの?」
「そういうことなの?」
光は、ますます引いた。
壁まで引いて、その顔をおおってしまった。