候補者世代巫女たちの動揺
圭子が口を開いた。
「まあ、憧れと結婚が直結するとは思わないけれどね、光君は、たくさん読書をする女性を評価するってことなの」
美紀が娘の華奈に少し厳しい言葉。
「いい?華奈・・・だから少女漫画だけだとダメなの、お人形遊びもそろそろね」
華奈は、頭を抱えて困っている。
「うーん・・・字を読むと眠くなるし・・・面倒だし」
美智子も娘の春奈にキツメの言葉。
「春奈も、曲りなりにも教師でしょ?学識を深めないとね、もっと諸学を学びなさい」
春奈は、ムッとしたけれど反論できず。
「曲りなりってなにさ!口が悪い鬼母だ・・・でもなあ・・・ついのん気に過ごして本なんて読まない」
ナタリーも娘ルシェールに一言。
「やさしくて料理が上手なお姉さんだけだとね、たくさん本を読んでいる光君と話が合わないよ」
ルシェールは素直に反省。
「つい、料理の本ばかり読んでしまうなあ、それは光君に食べさせたいからなんだけれど・・・もう少し読書を増やす、できれば光君と一緒に本を読んで感想を語り合う、そうしよう」
ニケも娘ソフィーに厳しい。
「ソフィーは光君に厳しすぎることがある、でも逆効果の時もあるよね、確かに観音力はすごいけれど、あくまでも観音様の御力、自分自身としての教養も必要、少なくとも光君はソフィーよりも本を読んでいる」
ソフィーは、「そういえば」と思い出した。
「光君の家の本棚の蔵書はすさまじい、古典から現代文学、様々な歴史書、宗教書、物理、化学、数学、語学・・・外国の本まであった」
「そうなると・・・少し借りるかな、光君を膝枕しながら読むとしよう」
さて、由香利はそんな話をフンフンと聞く。
「文学お姉さんんもいいなあ、そうなると図書館デートがいい」
「知的だなあ、うんうん・・・」
由紀は、少し安心した。
「そうか・・・やはりねえ・・・一緒に授業を長年受けているからよくわかる」
「光君、勉強に手抜きしないもの、居眠りはしているけれど、ノートは完璧」
「容姿とか呪力とか格闘じゃないんだね、光君が認める女性って」
キャサリンは焦っている。
「うーん・・・格闘と呪力は誰にも負けないと思っていたけれど、学識、教養ねえ・・・これは・・・ますます努力かなあ」
サラも同じ。
「どちらかというと、外して来た部分だった、、書物ねえ・・・戦闘とか呪文とかチェロはいいけれど・・・頭を使うことか・・・」
春麗は、涙顔。
「私も華奈ちゃんと実は同じ、少女漫画ばかり、字を読むと眠くなるし、じっとしているのって、超苦手」
周美鈴は深刻な顔。
「中国人だけど、漢詩をほとんど読んだことがない、白楽天と李白もよくわからない、その状態で教養?これでは媽祖様も呆れているに違いない」
華国祥が口を開いた。
「やはり、光君の伴侶となるというのは、阿修羅様の伴侶でもあるのです」
「そうなると呪力が強い、格闘が強い、容姿に優れている、性格が良い、それだけでは務まらないと思うのです」
「やはり、それなりの学識、教養も必要」
「学識、教養が深まれば、また視野も広がります」
奈津美も華国祥の言葉に頷いた。
「やはりね、どんな時でも、自己研鑽は必要ということ」
「自己研鑽をしない人から、傲慢が発生する」
「私も伊豆で温泉旅館をやっているから、よくわかる」
「自分が偉いと思い込み、旅館やその従業員、連れの者に迷惑をかける」
「政治家、企業経営者、全てそうなるの」
奈津美にも、様々な「経験」があるようだ。
光は途中から、奈津美の顔をじっと見ている。