光の「憧れの女性のタイプ」?
少々難しい雰囲気になったことを察した、叔母奈津美が光に声をかけた。
「ねえ、光君の憧れの女性ってどんな感じなの?」
「ここにいる人とかってことは、気にしないでいいの」
「どんなタイプってこと」
間接的な質問のようで、それを聞く「候補者世代の巫女」にとっては、かなり「直接的」な質問。
自分がその「光の憧れのタイプ」なのかどうか、本当に気になってしまう。
華奈は、その胸を抑えた。
「あーーーー・・・やばいよ・・・どうしよう・・・」
春奈は、難しい顔。
「年齢は関係ないよね、タイプだから・・・でも、私かなあ、違うかなあ」
ソフィーは、目を閉じ、懸命に観音力で探ろうとするけれど、厳しいらしい。
「実際、何度やっても、ヒットしなかった、実は何も考えていないかも」
ルシェールは、顔が真赤。
「これで、私に決まるかもしれない、ほとんど揃っているから、ここで婚約発表だ・・・わーーーうれしい、やっとだ」
由香利は、目を光らせて光の顔を見る。
「うむ、珍しく何かを考えている、でも、まあタイプの話、そのタイプが私と違ったら、そうなるように努力するだけさ」
由紀は、寒川神社のお守りをギュッと握りしめる。
「何となく、わかるんだけどねえ・・・光君のタイプか・・・」
キャサリンはお祈りのポーズ。
「アーサー王、私に御力を・・・是非、光君の腕の中に、このキャサリンを・・・」
ひざまずき、祈っている。
サラは、不思議な呪文を唱え始めた。
「アルテミス様・・・愛の天使、キューピットの矢を私に・・・大切なことなのです、ここで私が光君と結ばれるか否かは・・・地中海世界全体の平和と安全のために」
と、何度も不思議な呪文を繰り返す。
春麗は護符のようなものを手のひらにおき、もう片方の手の指を使って呪文を唱える。
「九天玄女様、ついに宿願が満たされる時がまいりました、本当にありがとうございます、これで中華の世界も安泰です」
周美鈴は春麗と同じような仕草。
「媽祖様、私にも御力を、まだ光君とは直接の縁はありませんが、私も簡単には引き下がれません、是非、是非・・・」
と、必死な面持ち。
・・・ただ、そんな状態であるにも関わらず、光は「そうだねえ・・・タイプねえ・・・」と、考えていて、「候補者巫女」を誰一人として見ようとはしない。
さて、親世代は、そんな光と「候補者世代巫女」の様子が面白いらしい。
まずは、叔母の奈津美と圭子、ニケ、ナタリー、美智子、美紀が笑い出してしまった。
それにつられて、華国祥まで、笑い出してしまった。
従姉の楓は、それで「ハッと」した顔。
どうやら親世代の笑いの中身を読んでしまったらしい。
圭子が光に声をかけた。
「ねえ、光君、巫女さんたちが必死だから、思ったことを言ってごらん?」
楓も、光に声をかけた。
「光君、えーっと・・・慎重にね、表現には気をつけて」
楓の光への言葉が、適切だったようだ。
母親世代の巫女と、華国祥は、ウンウンと頷いている。
光は、少しキョトン顔。
「何なの?好きなタイプくらいで、ここまでの話に?」
「お祈りしている人もいるけれど、意味不明」
「でも、憧れのタイプって言うのなら・・・」
光は、「憧れの女性のタイプ」を言うことになった。
そして、光が語った「憧れの女性のタイプ」は、特に「候補者世代巫女」にとって、まさに想定外のタイプであった。