仙薬の中身と光の考えていること
それにしても、光の食欲は、見たこともないほどのもの。
それに、今までは阿修羅の力を使った後は、常に疲労困憊、立つことも歩くことも出来なかったことが多かったのに、今朝はかなりの速度で走ることもでき、また食事をしているのである。
そんな光に華国祥が声をかけた。
「光君、どうかな、疲れは?」
光は、ニッコリと答えた。
「はい、昨日の仙界からの秘薬入りのスープが効いているようです」
「本当に感謝です」
春麗と周美鈴も顔を赤らめて、光の両横に。
春麗
「光君、ありがとう、飲んでくれてうれしい、効果もあったようで・・・うふ・・・」
周美鈴
「飲んでいる時、すごくドキドキしたけれど・・・はぁ・・・」
その春麗と周美鈴は、自分で話しかけておきながら、途中からトロンとした感じ。
これには、無粋な光も気がついた。
光
「ねえ、春麗、周美鈴、風邪でもひいたの?顔が赤い」
「横になったほうがいいとか?」
しかし、春麗と周美鈴は、そんな様子は見せない。
ますます、光を両サイドからがっちりと、身体を押し付ける。
春麗
「ねえ、だって、光君のスープだけ、特別の秘薬を入れたの・・・」
周美鈴
「うふふ・・・まだ、ドキドキする・・・」
そんなことを言われて、身体を押し付けられるのだから、光は困った。
「で・・・特別って何?」
「特別が、風邪を引くってことなの?」
「特別の薬が風邪を引くとなると、それに対抗する薬は?」
光の思考の混乱は、マックス状態、落語の慌てものでも、ここまでは混乱しない。
華国祥が、これには呆れた。
たまりかねて、光に「特別の仙薬」の説明をすることにした。
「実はですね、春麗と周美鈴の言う通り、光君のスープにだけ・・・特製のエキスを入れたのです」
「・・・そして・・・それは・・・」
と、春麗と周美鈴の顔をチラリと見ると、
春麗がまた、グッと身体を光に押し付ける。
「私たちの、唾液のエキスから作った醸し酒・・・」
春麗は、顔が真赤。
「だから、私たちのエキスが、光君の中で動いているの、生きているの」
春麗、周美鈴、そして華国祥は、その説明を聞いた光の変化に期待した。
春麗にしろ、周美鈴にしろ、中国古来からの神霊の力を帯びた超美少女、そのエキスが光の体内に入り、また体力も強化されたらしい。
となれば、光、いや阿修羅の関心は、自分たち中国に引きつけられるのは必定、そうなれば、ますます自分たちの覇権強化につながると、考えたのである。
そんな期待の中、光が殊勝な顔。
「本当にありがとうございます」
「確かに、足りなかった体力の回復能力が強化されたような感じです」
春麗、周美鈴、華国祥は、その光の言葉で満面の笑顔。
まさに、勝利を確信したような笑顔。
しかし、光はまた言葉を続けた。
「そういうエキスなら、最近も華奈ちゃんの醸し酒を飲みましたし」
「それ以前にも、様々な御神霊のエキスを巫女様を通じて受け取っています」
「ルシェール、由香利さん、由紀さん、キャサリン、サラ、春奈さん、ソフィー」
「僕としては、まだ、結論が出せる状態ではないのです」
「本当にありがたい効果、そして、申し訳ない返事となるのですが」
「これが、そのままの自分なんです」
その光の言葉に、春麗、周美鈴、華国祥は当然、全員の巫女が食事を止めて、聞き入っている。