中華粥に食欲を示す光
光の一行がホテルに戻ると、入り口で春麗と周美鈴が待ち構えていた。
春麗はにっこり。
「はい、お疲れ様、朝のお勤めご苦労様でした」
と、そのまま光の右腕を組んでしまう。
周美鈴も、対抗上なのだろうか、光の左腕を組みながら
「ソフィー様の撮影した動画、話題になっていますよ」
「あの有名私立校前に、抗議する市民が押し寄せていますし」
「神奈川県警と弁護士協会は、大慌て、ネットで炎上しています」
と、話しかける。
華国祥氏も、その後ろに立っていた。
「お身体は、大丈夫そうですね、走って来られたのですから」
華国祥としては、阿修羅の力を使った後の光の様子を確認したかったらしい。
光は、素直にお礼。
「はい、今までとは全然、体力の回復が違います」
華国祥は、また話しかけた。
「さあさあ、朝食をご用意してありますので、たっぷりとお召し上がりください」
光は、うれしそうな顔。
「ありがとうございます、遠慮なく」
と、そのまま、春麗と周美鈴に腕を組まれたまま、華国祥に続いて歩き出してしまう。
ただ、その光の様子は、「今までを知っている」巫女たちには、信じられない。
春奈はオカンムリ。
「ふん!何さ!私より、ちょっと若い女の子に腕を組まれて、ヘイヘイホイホイと!あーーーー気に入らない!」
ソフィーも怒っている。
「光君って、中国美人が好きなの?あのお尻蹴飛ばしたくなってきた」
由香利は、それでも冷静に分析。
「とにかく春麗と周美鈴の腕を組む力が半端ではない、あれでは腕を抜きづらいかも」
由紀は焦っている。
「うーん・・・春麗も周美鈴も、光君に身体を押し付けているし・・・肉弾戦?」
・・・・様々、他の巫女も、気に入らないのでブツクサ言っているけれど、同じようなことなので、省略。
さて、そのような状態で光たちは、「朝食会場」に到着した。
「朝食会場」といっても、他の宿泊客とは別室になっている。
朝食会場に入ると、圭子から声がかかった。
「お疲れ様、光君、ソフィー、キャサリン、サラ」
「朝食は、春麗と周美鈴の特製中華粥」
圭子の言葉通り、朝食会場の中央には、大きな鍋。
すでに給仕係が立っている。
華国祥がその給仕係の隣に立ち、説明をはじめた。
「はい、皆様、お疲れ様でした」
「様々な具材により、特製の中華粥をお楽しみください」
「さて、具材は、貝柱、白身魚、つぶ貝、イカ、海老、アワビなどの海鮮」
「牛肉、豚肉、鶏肉、ピータン、卵」
「おなじみの油条、高菜炒め、ザーサイ、パクチー」
「様々、お好みで、オーダー願います」
珍しく光が素早く声をかけた。
「あの、海鮮系が食べたいのですが・・・特にアワビと海老」
「最初はそれだけ、二杯目からは肉系に」
すると、給仕係は素早く、光にアワビと海老の中華粥を持ってくる。
そして、光はうれしそうな顔。
「マジ?ありえない・・・」
「二杯って、今までは一杯食べるのもモタモタと」
「顔がハツラツとなっているし、いつもの寝ぼけ顔ではない」
「うーん・・・もしかすると春麗も周美鈴も強力候補かなあ」
・・・・そんな巫女たちの声も最初は聞こえたけれど、それはすぐに消えた。
楓が「まずは食べてからでいいよ、そんなの」と声をかけると、巫女たちも、さすがに中華粥の香りと食欲には抗しがたかった。
そして、巫女たちもそれぞれに具材をオーダー、中華粥を食べ始めてしまったのである。