vs横浜有名私立校暴行集団(1)
「オイ!そこのガキ!邪魔だ、どけ!」
「テメエ、よそ者だろう!手出しするんじゃねえ!」
「早くどけ!どかねえとお前だって、タダじゃおかねえぞ!」
「ほらーーー!モタモタするんじゃねえ!」
光と、その横たわった老人を取り囲んだ若者たちは、総勢10人を超える。
年齢はおそらく10代後半がほとんど。
着ている服は案外上質な感じ、横浜市内の有名私立校の制服のようだ。
光の、ハンナリとした声が聞こえてきた。
「そんなこと言われてもね」
「どうして、こんなお年寄りを集団で?」
「この人があなたたちに何か悪い事をしたの?」
「少なくとも僕の目にはそう見えなかったけれど」
「そもそも一人を集団で襲うって何事?」
「それが男のすること?」
光がそこまで話したところで、まず高校生巫女集団が光の後に立った。
まず由紀が若者たちの制服から、すぐに高校を把握。
「え?あの有名私立校?」
由香利も、さすが都内育ち、反応が早い。
「かなり裕福な家庭のご子息でないと入れないはず、だから全員がお坊ちゃん」
華奈は、その若者たちの持っている物に注目。
「ねえ、金属バットと、ゴルフのアイアンとかみんな持ってる」
ルシェールは顔をしかめた。
「時々聞くよね、若者が集団で弱い老人とかホームレスを襲うって」
息がまだ荒い楓は、その若者たちを厳しく見る。
「そうかあ・・・それで光君、いきなり走り出したんだ」
春奈とソフィーも高校生巫女の後に立った。
春奈「ソフィー、どうする?」
ソフィー「取りあえず、様子を見る、録画もはじめた」
春奈「でも、あれ?キャサリンとサラがあっちから」
ソフィー「さすがだね、見抜いている」
さて、巫女たちがブツブツと話していると、再び「おそらく有名私立校の若者たち」が、再び光に迫った。
「何だと?テメーには関係ないだろ?」
「テメー、よそ者だろ?」
「おれたちはな、この公園の浄化をしているんだ!」
「いいか!この港の見える丘公園に、そんな汚らしいジジイなんて邪魔なんだ!」
「そんな年取って、住む家のないジジイなんて始末してあげているんだ」
「そのほうが、この街にとっても、そのジジイにもいいんだ」
「とにかく、そのジジイは目障りなんだ!」
「だから邪魔すんじゃねえ!」
他にもいろいろ騒いでいたけれど、ほぼ同じ内容なので、省略。
光は、またハンナリと口を開く。
「汚いとか、よそ者って関係あるの?」
「君たちのしていることは、集団暴行でしかないよ」
「それに目障りだったら、何にでも、そんなことをするの?」
「金属バットを持ったり、ゴルフのアイアンを持ったり」
「その実態は、単なる弱い者いじめでしょ?」
「もっと言うと、程度の低いうっぷん晴らしでしょ?」
「君たち、まるでガキだよ」
「君たちのほうが、横浜を汚すゴミ」
ハンナリとした言葉ながら、光の言葉は、ますます若者たちを刺激する。
そして、ついに若者たちには、我慢ができなかった。
そのリーダーだろうか、全員に指示を出す。
「いいや、面倒だ、あのガキもやっちまえ」
「どうせ、あのガキとホームレスのジジイだけだろ?」
「すぐに終わる、そしたら、財布を奪って本牧でも行くか」
そのリーダーの指示には、誰も文句を言わなかった。
というよりは、全員はうれしそうな顔。
リーダーは大声を出した。
「お前ら!やっちまえ!」
一斉に若者たちは、光とホームレスの老人に向かって、突進をはじめている。