山下公園内の巫女レース
山下公園を走り出した光は絶好調、まさに滋養強壮効果が発揮されている。
そして、光を追って公園に入った巫女たちは、それを見て目を丸くする。
ただ、出て来る言葉は、混乱を極める。
春奈
「ありえない!大雪になるとか地震になるとか?」
ソフィー
「やばいよ、私スッピンだし、アホの光君が元気過ぎ!亀でいいのに!」
華奈
「でも、光さん、すっごく足が軽やか、由香利さんから逃げる時みたい」
由香利
「華奈ちゃん!うるさい!華奈ちゃんなんか、追っかけられないでしょう?」
楓
「あーーー!もう!こんなに走ると、またお腹が減る、だから食べ過ぎて太るの!全く光君は私の太り薬?」
ルシェール
「楓ちゃん、光君のせいにしないの!昨日だって大月餅四つって何?その前にフルコース食べたよね、しかも政府のお金で!」
由紀
「ルシェールだって食べたでしょ?それに目立ちすぎ!その胸、少し分けて!」
・・・・特に光にとっては、どうでもいいバトルになるので、省略。
その光は、まず氷川丸を横目に、山下公園の階段をのぼっていく。
どうやらキャサリンとサラの予想通り、港の見える丘公園を目指すらしい。
すると巫女たちは、また騒ぎ出す。
春奈
「えーーー?光君ってマジにアホ?私は26だよ?走って坂道とか階段をのぼれっていうの?」
ソフィー
「もう!お化粧なんて状態じゃないって!私はツンとすましているのが魅力なのに、光君の前でゼイゼイしろっていうこと?」
華奈はニヤリ。
「えへへ、私、ぜーんぜん楽!お歳は大変ねえ!若さの勝利だあ!」
まさに軽やかに光の後を追う。
楓は、春奈やソフィーよりも息を切らしている。
「うーー・・・無理、私、歩く・・・はぁ・・・きつい・・・良かった・・・候補者じゃなくて・・・従妹で良かった・・・」
完全に本音を言うしかない状態。
由香利は、そんな楓を軽々と追い抜いていく。
「高校生の時は、ダンスで鍛えたの」
「華奈ちゃんも、さっきアホなことを言ったから、追い抜いてあげる」
ルシェールも必死。
「まさか光君に走らされるとは思わなかった、でも、やはり最強はこのルシェール、負けはしないさ」
ルシェールは、やはり底知れない力があるらしい、登り坂で、そのスピードをあげている。
由紀も、走り出すと速い。
「何と言っても、同級生、過去から光君の隣に一番長く座っていた実績がある」
「その実績ある同級生としても、負けるわけにはいかない」
山下公園に入った巫女たちは、そんな状態。
そのまま光を追いかけ、港の見える丘公園への「到着順位」としては、
身軽な華奈が一番。
その次に、由香利、ルシェール、由紀がほぼ同着。
そして、春奈とソフィーは、汗ダラダラにして、到着。
最後は、予想通り楓。
「あーーー!疲れた!お腹減った!光君はアホ!」
声だけは大声、進む速度は、見るに忍びない。
ただ、そんな状態で追いついた巫女たちの前に、また不穏な様子。
光が倒れ込んだホームレスのような老人の前に、心配そうにしゃがみ込み、その光を取り囲んでいる若者たちが見えている。




