翌朝の光と巫女たち
さて、光は、まさに華国祥の言った通りだった。
夕方に特製スープを飲んだ後は、朝まで目が覚めなかった。
巫女たちは全員、ホテル内で交代での食事となるしかない状態。
そして、朝起きた光は、元気そのもの。
本当に今までの光では考えられないけれど、呆気に取られる巫女たちに「おはようございます」と明るく挨拶、そのままホテル前の山下公園に入り、ジョギングを始めてしまったのである。
その様子を見た春奈は、ますます目を丸くする。
「マジ?いつも蹴飛ばしても、ベッドから引きずりおろしても起きないのに」
「しょうがないなあ・・・私も朝の山下公園で光君と・・・」
とうれしそうに道路を渡って、山下公園に入っていく。
華奈は焦った。
「あーーー妻の私をナイガシロにして無視してジョギング?私も行く!」
華奈も結局、ホテルを出て山下公園に光を追いかけていく。
ソフィーは、面倒そうな顔。
「あーーー!もう!光君は寝ぼけてる方が楽!私、まだお化粧終わってないのに!政府として警護しなければならないのに!」
ソフィーは、スッピン状態で光を追いかけることになった。
ルシェールは、少々苦しそうな顔。
「やばいなあ、昨日つい、食べ過ぎた」
「胸が重いなあ、また成長した」
ただ、ルシェールとて、光を野放しには出来ないと思った。
「カロリー消化しないとやばい」と、山下公園に向かう。
ただ、由香利と由紀は、そんなコメントも出さない。
由香利「先着順、朝の光君をゲットする!」
由紀「そう?光君は逃げ足速いよ?」
ここでも、口争いになっているけれど、二人とも走り出して、山下公園に入ってしまった。
さて、日本育ちの候補者世代巫女は、そんな状態になるけれど、キャサリン、サラは、何かに気がついたのか、別方向。
キャサリン
「おそらく光君は、山下公園の階段をのぼって、港の見える丘公園に向かうから、そこで待ち伏せをする」
サラはにっこり。
「うん、さすがキャサリン、そこで何かあるんだよね」
「朝ごはん前のカロリー消化だよね」
と、ホテル前の道を元町方面に向けて走り出す。
不思議なのは、春麗が動かないこと。
全ての候補者世代巫女が走り出したのを見届け、ホテルの厨房に入っていった。
さて、今朝の光と候補者世代の巫女の動向などに、リスクを感じていない母親世代の巫女は、烏龍茶を飲んでお茶会になっている。
圭子
「おそらくね、何かバトルしてくるんじゃない?」
美智子
「そこいらの不良のコワッパぐらいかな」
美紀
「あれだけいれば、心配ない」
ナタリー
「むしろ、喧嘩をけしかけて返り討ちにあうほうが、可哀そう」
ニケ
「光君が手加減すると思うよ、怪我しない程度に」
圭子
「春麗はそれをわかっているから厨房に入ったんだよ」
美智子
「そうなると中華風朝ごはんかなあ」
美紀
「ああ、いいねえ・・・美味しいよ、春麗も料理上手」
ナタリー
「侮れないなあ、ルシェールも食べてばかりでさ」
ニケ
「うん、食欲があるね、それと、ますます発達したね」
とにかく母親世代巫女は、何も心配していない状況になっている。