春麗と周美鈴の中国数千年の「手のひら診断」で顔を真っ赤にすることが?
光はカチンコチンながら、それでもお礼に応じる。
「いえ、私も大好きで大切にしている横浜中華街です」
「お役に立てて、幸いです」
華国祥は、再び光に声をかける。
「本来であるならば、これから中華街を代表して、お礼の宴を開きたいところなのですが・・・そのご様子では難しい様子」
「それについても、本当に申し訳なく思っております」
やはり、関羽将軍の御霊を注がれた華国祥から見ても、光の消耗ははっきりと見て取れるらしい。
その言葉を聞いたソフィーが、華国祥に頭を下げた。
「本当にわざわざお礼に出向いていただいたのに、こちらこそ、申し訳ございません。何しろ体力の回復が進まないんです」
周美鈴が、ソフィーの言葉を手で止めた。
「いえいえ、致し方ありません、人の体内に阿修羅様がおられるのですから」
「おそらく、光様は、凄まじいほどの体力、精力を常時使われていると思います」
「とてもとても、並の人間では、いやかなり鍛えていても難しいはず」
春麗が口を開いた。
「それにしても、このままでは、全世界の中華街に顔向けが出来ない」
「光君の食べられるもので、滋養強壮のあるメニューを考えましょう」
と、そのまま光の腕を取る。
そして、光の手のひらを、観察。
あちこち押したり、揉んだりを繰り返す。
「心臓は大丈夫、胃が弱っている」
「脂が強いもの、塩分、糖分が強すぎるのも負担が大きい」
「気管支が荒れている、これなら苦しいはず」
「あれ?肩こりもある」
・・・・どうやら春麗は、光に手のひらを押したり揉んだりしながら、中国数千年の歴史に基づく「手のひら健康診断」をしている様子。
ただ、光は、くすぐったいようだ。
ますますカチンコチン、真っ赤になっている。
春麗の「手のひら診断」は続く。
「腰はしっかりしている、足腰も大丈夫」
「柔軟かな、走ると早いかも」
「でも、あまり鍛えていない、スタミナがない?・・・と思ったけれど・・・」
「あ・・・これ・・・違う・・・マジ?・・・そうだったんだ・・・」
春麗の顔が、そこで真っ赤になった。
「あ・・・光君・・・マジですごい!」
「ねえ・・・すっごい・・・ほー・・・・」
「あらーーーー・・・・いいなあ・・・これはこれは・・・」
その春麗の表情に、まず周美鈴が反応。
春麗の指先が、光の手のひらの「どこの部分」にあるかを確認。
そして、周美鈴の顔も赤くなった。
我慢できなくなって、春麗と一緒に、光の手のひら診断を始めてしまった。
そして、「その部分」に触れるなり、声が出た。
「へえ・・・そうだったんだ・・・それでねえ・・・」
「はぁ・・・あやかりたいなあ・・・最高だよ・・・」
「転校するかなあ・・・って・・・高校は卒業しちゃったしなあ」
また、その春麗と周美鈴の反応の意味は、華国祥も察知したらしい。
「そうなんですか・・・いやいや・・・それはそれは・・・」
「阿修羅様もまた・・・考えが深い」
と頭をかいている。
しかし、中国人三人の不思議な反応は、光を含めて巫女たちには、ほぼ理解できない。
「何をやっているんだろう、春麗も周美鈴さんも何故顔が赤い?華国祥さんの反応も理解不能」
と思うだけ。
その理解できない様子に気がついたのか、華国祥が「仕方がないという表情」で、春麗と周美鈴に声をかけた。
「あまり気をもませても、どうかと・・・」
そして、ますます顔を赤らめた春麗と周美鈴が口にした言葉は、巫女たち、特に候補者巫女全員の顔を真っ赤にするものとなった。