中華街からの訪問者
さて、一種異様な雰囲気に包まれていたホテルのドアがノックされた。
すると、ソフィーと春麗が弾かれたかのように、立ち上がってドアに向かう。
圭子の表情が真顔そのものになる。
「おいでなさったかな、かの将軍様と・・・これもすごいお方」
圭子につられて、母親世代の巫女の表情も、厳しくなった。
ニケ「そうだねえ、すごいことになるのかな」
ナタリー「何を言ってくるのかな、楽しみ」
美紀「かの将軍様の御霊と、もう一体は・・・面白そう」
美智子は、光と奈津美の様子を見た。
「光君と奈津美さんも気づいたみたい、メモをやめた・・・というか終ったのかな」
また候補者世代巫女も、緊張顔。
春奈
「なんか、あのドアを通して、ものすごい霊気が入って来るんだけど」
由香利
「とにかく強くて、古くて・・・あと、メチャ可愛い霊気を感じる」
由紀
「また、光君いや、阿修羅が引き込んだのかなあ、そんな感じ」
華奈
「私、ガタガタしてきた、光さんにピタリしたいけれど、うーん・・・強敵多すぎだなあ・・・」
キャサリンは異様に目を光らせる。
「一度御手合わせをしたくなるほど、強い御神霊・・・それとあの娘も強い」
サラの髪が少し逆立ち始めた。
「うーん・・・アルテミス様が反応している、それも強い反応だ・・・珍しく強いなあ」
ドアは、ソフィーと春麗により、ゆっくりと開かれた。
ドッシリとした立派な背広に身を包んだ壮年の中国人男性と、真紅のチャイナドレスに身を包んだ、かなり若く美しい少女がゆっくりと入って来る。
ソフィーがいつもにも増して、緊張した口調。
「横浜中華街から、先ほどの騒乱を鎮めていただいたということで」
「その代表のお方が二名、お越しになられております」
春麗も緊張した口調
「すでに、皆様ご察しの通りでございます」
「こちらの男性の方は、人間の名前としては華国祥様、ここ中華街の守り神、関羽将軍の御霊を注がれたお方」
「また、こちらの女性は人間名は周美鈴様、天上聖母の媽祖様の御霊を注がれたお方」
その紹介により、壮年の男性は左手を右手の上に置き、女性は右手を左手の上においてお辞儀をする。
いわゆる中国風の礼、「揖礼」を行う。
さて、この緊張感には、光も対応しなければならないと思ったようだ。
いつものハンナリ顔ながら、挨拶をはじめる。
「あ・・・わざわざ、こんなところまで、ありがとうございます」
「僕は、光と申します、それから周囲の女性たちは、えっと・・・」
少し人数も多いので、もたつく。
しかし、その光が巫女たちの紹介を始める前に、「華国祥」が満面の笑顔。
その手をヒラヒラとさせ、
華国祥
「いえいえ、全て春麗から聞いております」
「光様は、まだお疲れから回復なされておりません」
そこまで言って、また頭を下げた。
「まずは、当中華街の危機を救っていただいたこと、深くお礼を申さねばなりません」
周美鈴も、また頭を下げた。
「本当に目を見張るようなお働き、視肉と太歳の退治に加えて、あの邪悪な白蛇精まで巧妙な対応で」
そこまで言って、うっとりと光を見つめている。
光は、お礼を言われて顔が赤い。
そして、珍しくカチンコチンの状態になってしまった。