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光と奈津美は、何かのメモを書きはじめる。

「わかりました」

光は、叔母奈津美との会話をその言葉で終えた。

奈津美も、光の母との浄土での話を伝え、安心した様子。

濃くなっていた目の色も薄くなり、いつもの美人女将の顔に戻っている。


しかし、その様子を見守っていた巫女たちは、候補者世代巫女は当然、母親世代巫女は、本当に緊張している。

つまり、光と奈津美の視線が、どこに向かうのか、それによって候補者どころか、「お嫁さん確定」になるかもしれない。


特に華奈は、本当にドキドキするのか、その顔を両手でおおい、その隙間から光と奈津美に様子をうかがう。

「やだーーー・・・この雰囲気」

「声を光さんにかけて、そのまま振り向かせちゃおうか、そうすれば確定かなあ」


そんな華奈に、母美紀は苦言。

「あのさ、光君の心で振り向かないと仕方がないでしょ?」

「それに、あなた、このすごい巫女さんたちが並ぶ中、対抗できるものがあるの?ただ一番年下だけでしょ?それに、そんなの対抗手段にならないこともわかっているでしょ?」

華奈は、シュンとなり、下を向いてしまった。


ただ、注目されている光も、ずっと下を向いている。

そして途中から、ポケットから手帳を出して、何かを書き始めている。

奈津美も、その書いたものを見て、時折「フンフン」と頷いている。

また、奈津美も時々、それに書き加え、光も一々、頷く。

ますます、周囲の巫女たちは、気持ちが落ち着かない。


ただ、そんな中、圭子は光の動きを理解し始めた。

「へえ、そうかあ・・・」

「そういうことね・・・」

その顔も落ち着いて来た。


しかし、その圭子の落ち着きが、楓には気に入らない。

「ねえ、母さん、光君と奈津美叔母さん何をしているの?」

「ほんと、奈津美叔母さん、わけのわからない出雲神霊結界まで張ってさ」

「みーんなここの巫女さんたちも、心配でしょうがないのにさ」

「私だって、心配だよ、ねえ、まったく!」

「光君のお嫁さんってことはね、私とも親戚になるの!」

「末長いお付き合いをするの、すごく大切なことなの」

・・・とにかく長々と文句を言い続ける楓ではあるけれど、圭子は落ち着いたまま。


それでも、圭子は楓に呆れたことと、他の巫女たちの反応も考慮したようだ。

「うるさいなあ、楓」

「そんなに心配なら、見て聞いて来れば?」

とまで言って、一呼吸。

「・・・まあ、細かくはわからないって・・・」

首を横に振る。


楓も、そこまで言われたら、見て聞くしかない。

「うん、これこそ、従姉の特権」

「私はもちろん、そして候補者巫女さんの意向をくむとしよう」

と、立ち上がり、光と奈津美の前に。


ますますの緊張、そして特に候補者巫女たちの表情には、ただならない緊張が走っている。


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