光(阿修羅)の作戦?巫女たちの反応
華奈がつぶやいた。
「阿修羅だ、これ・・・阿修羅が話している」
サラは、必死に目を閉じて、光が発した言葉の真意をさぐる。
「うーん・・・メデューサが来て、心配なく好都合?」
「一気にカタをつける?」
「うーん・・・そんな事例があったかなあ」
「アルテミス様ならご存知かも」
と、アルテミス神に問いかけるようだ。
ブツブツと口の中で、不思議な呪文を唱え始めた。
ソフィーも全てを知りうる大天使ガブリエルの巫女。
人間のままでは、どうにも「あやふやな」光の言葉の真意が理解できない。
「すみません、ガブリエル様、光君の言葉が例によって中途半端でわからないんです」
「ねえ、まったく、言葉までナマケモノで・・・自分だけ阿修羅様から作戦やら何やら授けられたみたいで、それをしっかりと伝えることができないんです」
「呆れて仕方ないんですけれど、どうなりますかねえ」
ソフィーは、大天使ガブリエルにまで、光の文句を言っている。
そして、他の巫女たちも、やはり光の言葉がわからないのか、それぞれの御神霊に問いかけ始める。
ただ、なかなか、それが進まないようだ。
とにかく巫女たちのほとんどが、首を傾げたままになっている。
そんな中、途中でハッとした顔になったのは、光の従妹の楓だった。
そして、光の顔を見た。
「へえーーー、あ!そうか!」
「単純だけど、それに趣向を凝らすんだ」
「ふーん・・・さすが阿修羅」
どうやら、楓には、「阿修羅の作戦」がわかってしまったようだ。
光の目が、またそれで輝く。
「ああ、だいたいは、その作戦」
「でも、もう少し念には念を入れるかも」
「もしかすると・・・メデューサは、元の姿を見せるかも」
光の言葉の調子が重い。
明らかに、阿修羅の口調になっている。
楓が光の頭から読んだ「阿修羅の作戦」については、瞬く間に、それぞれの神霊を通して、巫女たちに伝わったらしい。
まず、由香利が手を叩いて喜ぶ。
「ほーーー!これは前代未聞だなあ・・・伊勢様も笑っていました」
由紀は、まだ目を丸くしている。
「その戦術組み合わせの発想はすごいなあ」
「そう言えば、光君は理系のほうが強い」
華奈は、うれしくて仕方がないので、つい先走る。
「うん、これこそ、わが夫、妻として誇らしい」
ルシェールは、ため息をついた。
「まさかね・・・イエス様が大笑いしていました」
キャサリンは、眩しそうに光を見ている。
「ますます、欲しくなった、本気出さないといけない」
春麗も、キャサリンと同じ。
「うん、このままだと、ルシェールに持って行かれる」
「いつまでも、一歩引いているわけにはいかない」
さて、サラは、光つまり阿修羅の作戦を、アルテミス神から聞き、放心状態。
「そんな手段があったとは・・・数千年の呪いを・・・そんな形で解くとは・・・」
「さすが・・・阿修羅様・・」
「これは光君を連れて帰らないと・・・一族から責められてしまう」
それを感じた時点で、サラの目に炎が宿った。
最後にソフィーが光に声をかけた。
「わかりました、光君、いや阿修羅様、政府でも、その旨対策を行います」
「たいした労力ではありません」
「これで、蠅の神対策は、完全なものになります」
本当に、満足した様子。
少なくとも、さっきまでの光を責めていた様子とは、全然変わっている。