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楓は超ご機嫌

さて、巫女会議で、圭子と美紀の話は、まだまだ茫洋としたもの、何ら明確なものがない。

また、そもそも今回の敵は「混乱・混沌の世界を創出する邪霊」であるので、対策も立てづらい。

したがって、巫女たちの反応も、なかなか難しく、会議も進んでいかない。


そんな状態で、光が口を開いた。

「まずは・・・」

と、そこまで言って、その両腕を左右に開き、胸の前で合わせた。

阿修羅の合掌ポーズの完成である。

日本育ち巫女たちは、一様に姿勢を正し、キャサリン・サラ・春麗たちも、その目を輝かせながら、姿勢を正し、光の次の発言を待った。


そして、光の姿は、阿修羅に変花した。

阿修羅は、語りはじめた。

「まずは・・・当然のことながら、光君の警護として、アーサー王の聖剣エクスカリバーの巫女、オリンポス十二神のアルテミスの巫女、九天玄女の巫女には、光君の警護と、いざとなった時の戦闘を頼んである」

「混沌の神は、ミノタウロスとかドラキュラ、あるいは前回の暗闇の神アーリマンのように、わかりやすく時間を設定して登場するわけではない」

「いつ、何時でも、普通の人間などに姿を変え、混乱、混沌、それによる破壊を試みる」

「したがって、常時が戦場となる」

「また、金剛力士、八部衆の神たち、それから四天王、つまり広目天、多聞天、持国天、増長天も、所々に配置したのも、その常時各地戦場の性格に対処するため」

「混沌の神の力が強まるにつれて、同時多発テロも増加すると、考えていい」

「その対処として、まず光君から結界強化を行い、最終決戦までに無駄な戦闘は極力避けたい・・・といっても、小競り合い程度はあるかもしれない」

阿修羅の言葉は、そこで終わった。

と同時に、阿修羅の姿は、光へと変わっている。


阿修羅の言葉が終わると、大画面のモニターに、地蔵菩薩が出現した。

そして地蔵菩薩は、いつものやさしく、穏やかな顔で話しだした。

「ここにお集まりの、日本育ちの巫女様たち、それからキャサリン・サラ・春麗様たち、本当にありがとう」

「今、阿修羅様がお言葉を述べられた通り、扱いづらい単純にはいかない混沌の神が姿を現しはじめています」

「私どもも、充分な加勢を行います、金剛力士二体、八部衆の諸神、それから四天王は、すでにあちこちに目を光らせています」

「それでは、この世の衆生を混沌の苦しみから救うために」

ここで、地蔵菩薩は合掌。

そして、姿を消した。


さて、巫女全員が大画面のモニターの地蔵菩薩に気を取られていたけれど、

当の光は、阿修羅の変化を終えると同時に、コタツ板に頭を乗せて、寝息をたてている。


その姿を見た、母親世代の巫女、圭子、美智子、ナタリー、ニケ、美紀はクスクスと笑い、日本育ちの巫女、春奈、ソフィー、ルシェール、由香利、由紀、華奈は当然、キャサリン・サラ・春麗も頭を抱えた。


ただ、楓だけが、光に声をかけた。

「光君!疲れちゃったの?」

「それはそうだよね、一日に何度も変化したよね」

とまでは、珍しく光へのいたわりの言葉。

楓は、言葉を続けた。

「それでね特にね、お嫁さん候補者を自称する巫女さんたちには言っておくよ」

楓の言葉に、全ての巫女が注目する。

「とにかくさ、光君の場合は、体力がなくてナマケモノなの」

「でね、混沌の神に対応するために、何度も阿修羅になっていると、光君は早いうちに倒れるに決っている」

「これから、暑くなるしさ、それでいて帽子をかぶるとか、肌が弱いのに日焼け止めを塗るなんて、神経はからっきしない」

そこまで言って、楓はコホンと咳をひとつ。

「いい?私の言いたいことは、光君のお世話係は、このいとこの私がするってこと」

「だから、春奈さんも、もうお役御免、ご苦労さま」

そこまで言って、楓は超ご機嫌。

しかし、それは全ての巫女から、当然のごとく、ものすごい反発を受けることになる。

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