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白蛇精vsヒバカラ神、白蛇精の光分析

鳥神カルラの上にいる巫女たちは、ほぼ、そんな反応。

つまり、無粋な光に「お色気攻略」は通用しないという判断になっている。


しかし、鳥神カルラから上空に飛んだ、大天使ガブリエルの巫女ソフィーには別の不安を感じた。

「それはね、光君は、あんな性格だから仕方ない」

「女には無粋で鈍感、このソフィーだって、何度もスルーされて、怒っても気がつかない」

「ナマケモノで体力、気力欠乏症だしさ」

「そんな光君が白蛇精なんかに関心が無いのはわかる」


ソフィーは視線の先を光から、氷川丸の上の白蛇精に転じた。

「マジ、女から見ても艶っぽい」

「それが、声をかけても、光君が反応しないとなると・・・」

「あの欲深の白蛇精のことだ」

「世に出てきたとならば、手ぶらで帰るわけがない」

「そうなると、普通の男を餌食にする」

「それも、連鎖で、生き胆を喰らい続ける」


山下公園上空に浮かび、分析をし続ける大天使ガブリエルの巫女ソフィーに、天使長ミカエルが声をかけた。

「どうやら、阿修羅様は、それも考えてあるみたいだよ」

「今、ヒバカラ神が、鳥神カルラから、氷川丸に向かって飛んだ」


そして、ソフィーの目に、天使長ミカエルの言葉通りに、ヒバカラ神が飛んでいく姿が見えている。



そのヒバカラ神は、氷川丸に降り立った時点で、現代風の紳士に変化した。

上下が濃紺のベルベットのスーツ。

白いシャツに、深いワインレッドのこれもまたベルベットのネクタイ。

髪の毛は、キッチリと固め、その精悍な顔にはきれいに整えられたあご髭をやしている。


そして、その姿は途端に氷川丸船上の注目を男女ともに集めた。

「ほう・・・苦み走った美形・・・」

「あの鋭い目線が・・・たまらない」

「身体の動かし方が優雅・・・しかし、スキがない」

・・・・・・

とにかく、周囲の乗船客全てが、ウットリとする大人の男の魅力にあふれている。


鳥神カルラの上から、その様子を見ている美紀が説明をはじめた。

「ヒバカラ神というのは、奈良時代に国家鎮護の経典とされた、金光明最勝王経に説かれている蛇神のマゴラカ神とも言われている」

「つまり蛇には蛇、白蛇にはニシキヘビの大蛇かな」


美紀の説明の途中で、氷川丸船上の白蛇精が動き始めた。

そして人間の男に変化したヒバカラ神にすり寄っていく。

ただ、普通の「人間」から見れば、超セクシーな中国の若い女性と、苦み走った優雅な紳士との「遭遇」にしか見えない。


その白蛇精がヒバカラ神を見て、ため息をつく。

「まさか、あなた様のお姿をここでとは」


ヒバカラ神は、ニヒルな口調。

「ああ、阿修羅様の指示・・・いや・・・」

「たまには、性悪女の顔を見たくてな」


白蛇精は、ほぼ観念状態。

「阿修羅様の御指示なら、かないません」

「でも、あの可愛い男の子ならと思ったのですが・・・」


ヒバカラ神は、首を横に振る。

「ああ、白蛇精、それは無理」

「お前もわかるだろう、九天玄女様とて難攻不落なんだ、あの子は」

「おそらく、全世界の美女でも・・・難しいのでは?」


白蛇精は、そこまで言われて、ぼんやりと歩いている光を見る。

そしてうなった。

「うーん・・・阿修羅様が入っていなくても・・・私では、あの子は無理」

そして、声を落とした。

「あの子は・・・無粋と言う前に、心の傷が深すぎる・・・とても女にどうのこうのの状態でありません」

その声と同時に、白蛇精の姿は消え去ってしまった。


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