白蛇精が光を誘惑?いや、そもそもとして・・・
赤黒い邪念ウィルスの毒霧が全て吸い込まれた視肉と太歳の超巨大合成肉が、クバンダ神の口に全て吸い込まれた時点で、阿修羅、アーサー王、アルテミス、九天玄女は、姿を消した。
いつもの光、キャサリン、サラ、春麗の姿に戻っている。
尚、金剛力士は、それでも工夫をこらしたのか、セーターにジーンズという姿に変化している。
光が、そんな金剛力士二体に声をかけた。
「ねえ、阿形君、カンフーはどうだった?」
「ずっと遊びたがっていたからさ」
その阿形は、フンと言った顔。
「うーん・・・人数は多かったな、いろいろと細かい動きは面白かった」
「いわゆる逆の動きもあるし、速度もある」
「でも、人間の動きだから、読める、まあ、久しぶりかな」
吽形が珍しく声を出した。
「まだ、物足りない部分があるが、仕方がない」
光と金剛力士が、そんな「格闘技談義」をしていると、キャサリンが光の袖を引いた。
キャサリンは、氷川丸を指さして、少々こわばった顔。
「ねえ、氷川丸にね、変わったお姉さんが立っているんだけど」
「光君を手招きしている」
サラはムッとした顔。
「春麗より、ド派手な刺繍のチャイナドレス」
「スリットから、メチャクチャきれいな美脚で・・・胸あきドレス・・・すっごい谷間だよ、ウェストも締まっているし・・・気に入らない」
春麗は、呆れた。
「あいつは白蛇精だな、この九天玄女の前に姿を現すとは、呆れた女だ」
「いつも、こっぴどく痛めつけるのに、まだ懲りないのか」
さて、光は、周りの巫女たちが、いろいろ言ってくるけれど、全く関心が無いらしい。
サラの指さす「白蛇精」もチラっと見ただけ。
すぐに視線の先を変えてしまう。
そしてブツブツ文句を言い始めた。
「せっかく奈良にいたのに、どうして横浜?」
「阿修羅君も、人使いが荒すぎだ」
「カルラ神に乗って帰ろうよ、もう一度奈良に」
「ここだと、杉並の家に近すぎる」
「どう考えても、旅行って感じがしないもの」
珍しく、機嫌が悪そうになっている。
ただ、その光の反応に対しては、キャサリン、サラ、春麗は「ある意味」、呆れた。
キャサリン
「それはそうなんですが・・・」
サラ
「あんな悪神に引き寄せられても、それは心配だけど・・・」
春麗
「そういえば光君は、女性に無粋という話は本当だった」
また、鳥神カルラの背中に乗り、上空から光たちの様子を見ている巫女たちは、笑っている。
華奈
「光さんは、お色気系女には、関心が無い、あのヴァイオリニストの晃子さんなんか、可哀そうな程にスルーされた」
春奈
「関心が無いというよりは、鈍感で無粋なだけかも」
ルシェール
「戦闘系巫女たちも、これで私たちの苦労がわかるはず」
由香利
「それでも、私にだけは顔を赤くして緊張するなあ」
由紀
「それは、先輩への敬意では?」
・・・・巫女たちにより、「光の無粋」の様々な「分析」が行われるけれど、白蛇精の光への誘惑は、一行に進まない。