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西の京散策(2)薬師寺白鳳伽藍

薬師寺の金堂の本尊は、国宝薬師如来。

その脇侍として、同じく国宝の日光菩薩と月光菩薩が立っている。

尚、制作時期は、白鳳時代とされている。


さて、薬師如来の別名は、医王如来であり、医薬兼備の仏である。

人間にとって恐ろしいものの第一の死に至らしめる原因は、病気。

身体の不調と心の不調も、病気の範囲。

また、強欲、嘘つき、疑い深い、ヒステリー、愚痴が多い、これも客観的に見れば、正常ではないという意味で、病気の一種。

薬師如来は、これらの「それぞれの病気」に対して薬を与え苦を抜き、安楽を与える仏である。

それ故、古来、人々に仰がれ、親しまれ、頼られてきた。


その金堂の中に入り、一番顔が輝いているのは、やはり薬師如来の巫女である春奈である。

その春奈に、光がサッと近寄る。

「ねえ、春奈さん、薬師如来もいいけれど、あの日光菩薩と月光菩薩も好きなの、すごくスタイルがいい」

「日本の仏像彫刻の最高傑作のひとつと思うよ」


春奈も、うれしそうに光に応える。

「そうね、少し腰を捻っているけれど、抜群のプロポーション」

「若い娘さんって感じかなあ」

「ハツラツ感がある」


さて、美紀が、サラと春麗を呼び、薬師如来の台座の説明をはじめてた。


「ここを見てもらうと、ギリシャの葡萄唐草文様、ペルシャの蓮華文様、インドの神様の像、 中国からのの四神、青龍・朱雀・白虎・玄武が彫刻されているの」

「まさにシルクロードの終着点ともいえるかもしれない」


その台座を見て、サラは感激。

「へえ・・・ここでわが母国由来の・・・まさかです」


春麗はニコニコ。

「いいなあ、力が湧いてくるよ、こういう神様を見ると」


薬師寺金堂の中では、光も含め、巫女たちは大人しかった。

全員が神妙に手を合わせている。

やはり薬師如来には、精神を安定させる効果があるのだろうか。

次に東院堂の聖観音菩薩を見学することになった。


その東院堂の聖観音菩薩の制作時期は、金堂の薬師三尊と同じ白鳳時代。

これも、日本屈指の美しい観音像であり、薄い衣と、その衣の美しい襞の流れの下から、脚が透けて見える彫刻技法は、インドのグプタ王朝の影響を受けたものと言われている。

また、観音菩薩は、全ての色なき色を見、音なき音を聴くという、「観」の働きをもって悩み苦しむ人々を救うと言われている。


光は、今度はソフィーの顔を見る。

「観音様と言ったら、ソフィーだよ」

「ソフィーはもともと観音様の巫女、その力を与えられている」


ソフィーも心得たもの。

「うん、全ての情報を知り得るし、その対処もできる」

「その意味では、大天使ガブリエルとも共通する力」

「本当の古代では、同じものだったのかもしれない」


また、東院堂内には、鎌倉期の彩色が残る四天王像も配置され、光たち一行は、ここでも大人しく、神妙に手を合わせている。


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