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巫女たちのテレビ会議(1)

光たちが、二階の和室に入ると、まず気がついたのは、壁の大画面モニター。

そして、その画面には、圭子叔母、春奈の母美智子、ルシェールの母ナタリー、そして楓が映っている。

また、鎌倉に住むニケも映っている。

その次に気がついたのは、コタツの上のルシェール特製にシュークリームとエクレア、そして紅茶器のセット。

既に、準備万端の様子らしい。


光が

「へえ・・・テレビ会議するんだ、すごいねえ、そういうこともできるんだ」

「そのうえ、シュークリームとエクレア?これはこれは、ルシェール、ありがとう、美味しそうだなあ」

と、とにかく喜んだ顔を見せると、何より、日本育ちの巫女たちが、ビクッと肩を震わせた。


光が「え?」という顔で、日本育ちの巫女を見るけれど、その原因は、すぐにわかった。

そして、その原因たる「楓の大文句」がいきなり始まってしまった。


「こらーーーーー!」

「光君!そしたあなたたち!」

「何を考えているの!」

「自分たちだけ、シュークリームとエクレア?」

「どうして、そういうことするの?」

「私たちなんてさ、奈良のお煎餅なんだよ!」

「それも、口うるさい母さんがさ!私へのコトワリもなくさ、勝手に買ってきちゃってさ!」

「それに何?ルシェールも何を考えているの?」

「せっかく、光君のお嫁さん候補が一同に集まるっていうのにさ!」

「どうして光君に、恥をかかせるようなことをするの?」

「あのね!光君はね、ものすごくアホで間抜なの!」

「シュークリームとエクレアを、大好きなくせに、必ずベッチョリこぼすの!」

「それをわかっていて、そんなの準備するの?」

「あーーーそれで、光君に恥を計画的にかかせて、最後はルシェールが獲得って思っているの?」

・・・・・・・

とにかく、楓の文句は果てしなく続く。

ただ、文句の要点というか出発点は、楓がシュークリームとエクレアを食べられないこと、そして若い世代の中で、自分だけが奈良にいるというヤッカミである。


さて、楓の大文句は、都内組と奈良組の巫女にも、反感を持たれたようだ。

いきなり、楓の前に、楓の母圭子が立ち、楓のマイクを切ってしまった。

そして圭子は「ねえ、本当に申し訳ありません、こんなアホ娘で」

と、頭を下げた後、話し出す。


「それでは、あらためまして、ようこそ、キャサリン、サラ、春麗、私が圭子と申します」

「はるばる国を越えて、光君の警護として、来られた」

「そして、いまだ、跡継ぎが決まらない光君の、お嫁さん候補として」

「私も、光君の叔母として、心より、歓迎申し上げます」

「皆様の素晴らしいお力、我が日本の巫女たちにも、本当に助かることとなりますし、また勉強にもなります」

「これを機会に、より一層の親密な関係を築こうと思います」

さすがは、日本でも最高の地位に属する巫女、圭子である。

言葉遣いも慎重、キャサリン、サラ、春麗も、頭を垂れて、聞き入っている。


キャサリンが圭子に、頭を下げた。

「はじめまして、キャサリンと申します」

「ケルトの巫女、そしてアーサー王に聖剣の巫女にてございます」

「このたびは、尊敬する圭子様のお顔を拝見できて、誠に幸せに存じます」

「今後は、光君を警護し、そして、配偶者の候補としての、努力を誠心誠意行ってまいります」

誰も文句がつけられないような、真正直の言葉、これには全員の巫女が襟を正している。


サラが続いた。

深く圭子に頭を下げた後

「はじめまして、私がサラでございます」

「アルテミスの巫女にございます、ギリシャ・地中海を代表して光君の警護、そして配偶者候補として、全身全霊で光君に尽くさせていただきます」

「尊敬する圭子様にも、是非、ご指導をお願い致します」

サラは、とにかく満面の笑顔、そして身体全体から豊穣というような輝きに満ちている。

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