楓には内緒の戦略 聖母マリア像へ向かう
また、キャサリン、サラ、春麗も、光の考えを読めたのか、目を丸くしている。
キャサリン
「蜘蛛を使って、すごい装置なんですね・・・その発想は、私のような戦士系には無理です」
サラ
「光君は、音楽とか歴史が好きだから、文系と思ったけれど、実は理系だったの?大発明家かもしれない」
春麗は、奈良育ちの巫女たちの様子を見ながら
「光君も、すごいなあ、結界を張って読ませないようにしている」
「・・・というか、楓ちゃん対策かも」
そんなことを巫女たちが、様々考えていると、光が突然振り向いた。
そして、まず春麗に
「そうだよ、制作は関東で行う」
「楓ちゃんの作る生薬も使うけれど」
とまで説明。
サラは、すぐに理解した。
「そうか、蜘蛛パニックになる楓ちゃんの目の前では、出来ないってことね」
「光君、案外やさしいかも」
キャサリンは、今だキョトンとなっている楓をチラリ。
「楓ちゃんは、アイスで頭が一杯だけど」
光は、しっかりと頷く。
「アイスはどうでもいいけれど、楓ちゃんの泣き顔って見たくないしさ」
「奈良系の巫女には、圭子叔母さんも含めて読ませないようにした」
「楓ちゃんも、透視力が強いから、圭子おばさんに読ませると、読んでしまうかもしれない、そうなると必ず大パニック、そうなると、とにかく大変なの」
「これも、阿修羅君に、そうするって言われたの」
由香利と由紀も話に加わってきた。
由香利
「そうだよね、なんとなくわかる、泣いたら泣き止まないとか?」
由紀
「うーん・・・ストレスがたまっているのかなあ」
光は、また頷いた。
そして、「読んでしまった」巫女たちに、
「帰りに車に乗った時点で、詳しい内容を説明します」
と、頭を下げる。
光と巫女たちの一行は、ここで氷室神社への参拝を終えた。
光の「戦略」について、ある程度内容を理解したもの、全く読めないもの、それぞれに、不明瞭な部分があるけれど、「阿修羅がここでは、内容を明かさない」戦略であると、巫女全員が理解していたようだ。
いつもなら、カンカンに怒って光を問いただす楓も、黙りんでいる。
さて、光たち一行は、氷室神社を出て、ルシェールと、その母ナタリーの願いでもある、キリスト教会にサロンバスで向かう。
その理由としては、教会への入り口に立つ聖母マリア像のお招きがあるため。
そのため、聖母マリアの巫女でもあるルシェールが、光の隣にズンと座る。
ルシェールは、そのまま光と腕をグッと組む。
「氷室神社のことは、よくわからないけれど、光君にまかせます」
「それぞれの戦略の一環と思うから、口出しもしません」
そう言いながら、光の身体をグングンと引き寄せ、すでに密着状態。
光は、真っ赤な顔になっている。
ルシェールは言葉を続けた。
「光君と、私たち巫女にも、マリア様から特別のメッセージがあるとのことです」
光は、真っ赤な顔で、ルシェールに応じた。
「うん、わかっている」
そして、声の質が、突然、変わった。
「それもないと・・・この子の身体が持たない」
光の声は、阿修羅の声に変わっている。