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更なる異変 そして華奈と光

神楽の進行とともに、光たち一行の周囲に、更なる異変が発生した。

香しい藤の香りとともに、薄紫色の霧が一行を包み込む。


また、不思議で厳かな声が聞こえてきた。


「邪悪で低劣な霊を浄化し、高貴な霊への転換を促す力を持つ霧になります」

「この霧に包まれた者はすべて、春日の神に認められた者」

「それぞれの危機を救い、安全と豊かさを導く力をもたらす神の霧」

「この霧に包まれることにより、皆様の身体と心の内奥に、その力が宿されました」


少し間があった。

「もし、この地から遠く離れ、かつ、どれほどの時が経とうとも、この力は消えません」

「春日の神は、一旦認めた者を、決して見失うことはありません」

「いつでも、どこでも、あなた方を見守っておられます」

「神楽は、そのための、結界になります」


不思議で厳かな声は、そこまでだった。

そして、その声が聞こえなくなると同時に、神楽も巫女の姿も消えた。

また、光たちの一行も、春日大社本殿前ではない。

いつのまにか、お札を売る社務所の前に立っている。


さて、光は、まだ首を傾げている。

「あの、神楽で見た一番前で踊っていたのは、一の巫女と言われる巫女」

「はっきりと見えなかったけれど、見覚えがある顔」

「うーん・・・わからない・・・」


光が首を傾げる中、他の巫女たちは、それぞれ感想を述べている。


春奈

「素晴らしいものを見せていただいた上に、不思議な御力まで授けられて」


ソフィー

「さすが、春日様だ、安心感がたっぷり」


ルシェールは涙を流して感激している。

「はぁ・・・何か、日頃のストレスが全部消えた、身体も楽になった」


由香利は、まだ、ドキドキしているのか、その胸を抑えている。

「昨日のお伊勢様のご神威、東大寺で感じた浄土とも違う」

「香しさが、また素晴らしい」


由紀は、まだ目を閉じている。

「とにかくすごかった、春日様の御力、ありがたい」


楓は、ニコニコと笑う。

「うん、元気をしっかりもらった」

「そしたらおなかが減って来た」


キャサリンは、まだ威儀を正している。

「とにかく最高位に属する御神霊です、そのご利益は計り知れません、本当に日本に来てよかった、昨日のお伊勢様も、東大寺も、そしてこの春日様も」


サラは、じっと本殿の方向を見つめている。

「もし、来世に生まれ変わるなら、必ずこの春日の地に生まれたい。そして私は巫女舞をしたくなりました」


春麗は珍しくまだ緊張が解けない。

「とにかくすごかった、九天玄女様が喜んでおられる顔も見えた」

「ほんと、ここは神の地と思う」


特に候補者巫女たちが、様々な感想を言う中、華奈だけは黙っている。

春日大社本殿の方向を見ることもない。

その華奈の視線の先は、光。


そして、華奈がポツリとつぶやいた。

「気がついたかな」


すると光も、華奈の目をじっと見ている。


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