ノロマで無神経な光と巫女たち
光の「お嫁さん候補者巫女たち」は、結局、光の着替えのために、部屋から追い出されることになった。
その中で華奈は、「手伝いましょうか?」と、残ろうとしたけれど、他の巫女たちの「ものすごい目線」で、スゴスゴと部屋を出るしかなかった。
そして廊下に追い出された巫女たちは、全員が光に文句タラタラ状態になる。
ソフィー
「ああ、気に入らない!ほんと自分勝手!私の部屋に無断で蜘蛛を飛ばすし、その前に隠密行動で一人で春日山に?何かあったらどうするの!」
楓も、しかり。
「そもそも無防備過ぎる、一人で春日山に入っちゃうのも危ないし」
華奈
「いくら汗かいて泥だらけっていっても、部屋に入るのに鍵くらいかけるよ」
「ほんと、光さんは、妻に不安ばかりかける」
由香里は、華奈の「妻発言」に顔をしかめるけれど、光への文句はきつい。
「そもそもね、朝食を一緒に食べましょうと、迎えに来てくれた人に、何の感謝もなく」
・・・・・・後は、同じような文句なので、省略。
というよりは、光がドアを開けて出てきてしまったので中断になった。
さて、出てきた光は、巫女たちの文句など何も知らない。
「さて、ここのホテルの朝食は絶品なんだ」
「何を食べるかなあ」
と、待ち構えていた巫女たちに向きもしないで歩き出してしまう。
楓は、またしても呆れた・
「マジ?アホ!歩く無神経のカタマリ」
華奈は、ズイと前に出る。
「ほんと、しょうがないなあ、私がいないと何もできない」
と、光と腕を組もうとするけれど、やはり失敗した。
いつものように、あっと言う間に、由紀、キャサリン、サラ、春麗の同級生巫女たちが、光の前後左右を囲んでしまったのである。
由紀
「これが当たり前」
キャサリン
「一人で山に入らせてしまったのは、私共の失態です、取り返しをしなければなりません」
サラ
「もう、二度とあんな失態は起こしません、これからは完全警護です」
春麗はもっと厳しい。
「華奈ちゃん、邪魔、どいて、警護は私たちの役目なの」
はっきり言われてしまった華奈は、すでに涙顔。
それをルシェールがなぐさめる。
「まあ、仕方ないよ、それぞれ役割があるのかもしれない」
そんな状態で、様々な想いの中、光と「候補者巫女」の一行は、朝食会場に到着した。
すでに、母親世代の巫女たちは、席について朝食を摂っている。
光も母親世代巫女たちには、頭を下げ、席に着いた。
六人掛けテーブルだったので、同級生巫女四人と、従妹の楓が「同じ年齢」を主張し、一緒に座ることになった。
さて、光は、何を食べるかで、少々悩んだ。
「評判のオムレツにするかなあ」
「それとも、奈良名産の茶粥定食にするかな」
「普通の和定食も捨てがたい」
ただ、光の悩みは、すぐに無くなってしまった。
従妹の楓が、ほぼ強引に
「このテーブルは、全員が茶粥定食にします」
注文を取りに来た係に、言い切ってしまった。
光は、「え?」と楓を見るけれど、楓は何も気にしない。
それどころか、
「とにかくずっと、ノロマの光君に待たされたの、おなか減ってしょうがない」
同級生巫女たちも、同じ考えらしい。
誰も反論する人がいない。