光の家で巫女会議?
音楽部の夏のコンサートの演目は、光の提案で、「ベートーヴェンの第九交響曲合唱」に決定した。
また、冬にはもう一度コンサートを開き「マーラーの復活」も、音楽部と合唱部の話し合いの中で、校長と交渉すると決定した。
音楽部の部員も合唱部の部員からは
「合唱も復活も一回やってみたかった」
「まずは合唱だね、ああ、うれしい!」
「憧れの曲を光君の指揮でなんて、最高」
「一生の記念になる」
「もう!早く楽譜を見て練習したい!」
・・・・・・
そんな声が次々に出て、光が「第九・合唱」を振るという情報、冬にもう一度コンサートを開いて「復活」を演奏したいという情報も、またたく間に学園内全体に広まった。
音楽部顧問の祥子が。校長に内線連絡を取ると、校長の方から、満面の笑みを浮かべて、音楽室に入ってきた。
光を見るなり
「いやーーー光君!ありがとう」
「光君の第九なんて、みんな聞きたがるよ」
「それに冬にはマーラーの復活?」
「それもいいねえ、企画するよ!」
交渉どころではなかった。
情報が伝わった時点で、校長は即OK状態になっている。
光も、そんな校長にうれしそうに頭を下げる。
やはり、音楽のことになると、光の笑顔は本当に自然なものになる。
光は、再び音楽室にいる部員たちに向き直った。
そして
「えーっと、後はコンチェルトと第一曲目になるけれど、そうなるのも確定ではありません」
「それについては、第九との相性もあるので、少し調べてみます」
「なるべく、すんなりと第九に入っていきたいので」
と、意見を述べると、部員たちは頷いている。
さて、音楽部の夏のコンサートのメインと、思いがけなくも冬のメインまで決まってしまったので、音楽部の話し合いは、終了した。
後は、帰宅という予定になる。
光が
「じゃあ、華奈ちゃん、帰ろう」
と声をかけると、華奈はスッと光の横に立つ。
しかし、それから、光と華奈の足が進まない。
何しろ、途端にキャサリン、サラ、春麗に囲まれてしまった。
キャサリンが口を開いた。
「光様、ご自宅まで警護します」
サラも
「はい、同じくです」
春麗
「さあ、行きましょう」
華奈はムッとする顔になるし、由紀も顔をしかめた。
少し戸惑っていると、ソフィーと春奈が難しい顔で入ってきた。
ソフィーが光に
「ねえ、これから光君の家で、巫女さんたちの話し合いがあるの」
と声をかけると、
光は「え?」とキョトン顔。
春奈は
「うるさい!ごちゃごちゃ言わない!さっさと歩いて!」
と、せきたてる。
首を傾げる光のスマホが光った。
光がスマホを取ると、相手はルシェール。
「光君、早く帰ってきて!」
「シュークリームとエクレア作った」
光が思わずニッコリ
「うん!食べる!」
と電話を切ると、途端に由香利からコール
「ねえ!さっさと来てよ!もう家の中にいる!」
驚く光の足を、華奈が思いっきり蹴飛ばそうとする。
しかし、軽くかわされている。