表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/371

サロンバスの中で様々、光の寝言

せっかくのご対面なのに、「せめて一旦お茶ぐらい」ということはなかった。

とにかく、光が東大寺四月堂に行きたくてしかたがないらしいので、全員がサロンバスで向かうことになった。

それと、「東大寺四月堂」と口に出した瞬間から、光の身体全体から、オレンジ色のオーラが出始めている。


それをいち早く認めたのは華奈だった。

「うん、光さんが、そこまで言うのなら、きっと何かある」

「私でさえ、何かビリビリしたものを感じるもの」


他の「候補者巫女」たちからすれば、「ドサクサ紛れにアッサリ」光の腕を組んでしまった華奈は気に入らないけれど、この状態では仕方がなかった。


それでも春奈がポツリ。

「全く華奈ちゃんは、動きだけが早い」


ソフィーも面倒そうな顔。

「拝観時間延長願いしておくかな、二月堂からの眺めも見たいって言いだすに決まっている」


ルシェールはムッとしている。

「いいでしょう、途中で奪い取るだけ、光君も華奈ちゃんも、どうせスキだらけ」


他の「候補者巫女」も、ブツブツ文句を言っていたけれど、同じようなことなので省略。


それでも、奈良住まいの光の叔母圭子が説明をする。

「そもそも、東大寺四月堂というのは、小さなお堂です」

「本来は三昧堂という名前」

「法華三昧会が旧暦の四月に行われるため、一般に四月堂と呼ばれています」

「創建は、約千年前、現在の再建された建物は、延宝9年だから、1681年」

「二,三年前からご本尊が変わって、千手観音様から十一面観音様になっています」


そして従妹の楓も珍しく光を弁護する。

「光君の身体が、ああいう風に光る時って、絶対何かあるの」

「いつもの大ボケナマケモノの光君の時は、何やってもいいけど」

「鹿さんと観光客だらけの大仏殿ではなくて、わざわざ、あんな小さな四月堂の観音様なんだ、絶対何かある」


また、華奈の母にして宗教学者の美紀が説明をする。

「一応、確認のために、若い子たちも多いので説明をしておくね」

「まず、観音経というお経は、そもそも法華経の中にあります」

「正式には法華経の第二十五品の観世音菩薩普門品、それから独立した観音経」

「それだから、法華三昧の四月堂のご本尊が観音様」

「それと、大仏殿のご本尊は毘盧遮那仏、それは華厳経に基づいている」

・・・・・・・


サロンバスの中では、そんな話がしばらく続いているけれど、光は華奈に腕を組まれたまま眠っている。


その光を見て、奈津美叔母がうれしそうな顔。

「きっとね、光君、もう観音様とお話しているんだよ」

「もちろん、阿修羅様と観音様のレベルだけどさ」

「いいなあ、でも、この寝顔、小さな頃のまま」

「・・・可愛かったもの・・・やさしくて、いつもニコニコしていて・・・」



さて、サロンバスは右側に春日大社、左側に興福寺の道を進み、少しずつ東大寺に近づいている。

すると、光が寝言を言い出した。

それも、機嫌が悪そうな顔。


「・・・ったく・・・うるさい・・・あいつら・・・」

「ゴチャゴチャ言いはじめているなあ・・・」

「それに何?あのゴツイの二人まで?」

「げ・・・四天王?」


圭子は、その光の「寝言」を聞き取り、笑いだしている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ