ホテルに到着、またしても楓の大騒ぎ
サロンバスでは、様々な話があったものの、道路は空いており、目指すホテルに午後4時に到着した。
光と巫女たちが、バスを降りると「予想通り」待ち構えていた楓の大声が降ってきた。
それにしても、すさまじい。
「あらーーー!ひ・か・る・くーん!」
「成長したよねーーーー!」
「去年の夏なんて、大年増の春奈さんに引きずられて、真っ青な顔と真っ赤な顔とゴチャマゼになって、来たのにねーーーー!」
「それが何?」
「こーんなにゾロゾロと、美少女ばかり引き連れて、しかも政府のサロンバス?」
「去年の夏なんて、近鉄奈良だよ、あの雑踏の中をトボトボと・・・・」
ここで楓の目は、光の持ち物に目を向けた。
そしてまた、騒ぎ出した。
「それにさあ!光君、その持っているものは何?」
「まさか赤福?マジ?マジでお土産とかって、思っていないよね」
「何で、東京に住んでいる光君が、奈良に住んでいる私にまさか赤福ってありえる?」
「フツーの感性持った子なら、青山とかさあ、六本木のお洒落な洋菓子持ってくるよねーーーー!」
ここまで言われて光は、ウロタエるしかない状態。
楓は、そのウロタエの光をフフンと鼻で笑い、ホコ先が変わる。
「まーーーったく!」
「春奈さんもソフィーも、ルシェールも華奈ちゃんもいて!」
「ドーーーーして!アホの光君にちゃんとアドバイスができないの?」
「いい?私ね、懸命にダイエット中なの!」
「それをね、あんな糖分と炭水化物のカタマリみたいな・・・」
ただ、楓の大騒ぎも、そこまでだった。
まず、春奈が反論を開始した。
「楓ちゃん、マジでダイエットしているの?」
ソフィーはもっと厳しい。
「どう見ても、3月に見た時よりは巨大化している」
「いつからのダイエットなの?」
ルシェールも、いつものおっとりお姉さんではない。
珍しく顔が厳しい。
「どうせ楓ちゃんのことだから、ダイエット中ってのは、ご飯を三杯から二杯に減らす程度でしょ?その分、奈良のお煎餅とか食べているんでしょ?」
華奈も、楓に反発した。
「私はわかる、楓ちゃん、全くダイエットしてない」
「私が中学生の頃、一緒に奈良に住んでいた時は、楓ちゃんもミニスカートの時もあったけれど」
「今、それ出来る?」
様々、お互い奈良町育ちの巫女同士でバトルになっている。
関東育ちの由香利と由紀は、最初は笑っていたけれど、途中から興味がなくなってしまったらしい。
由香利
「いつものことさ、どうでもいい」
由紀
「楓ちゃん、一人で奈良だから寂しかっただけだよ」
また、外国人巫女のキャサリン、サラ、春麗はそれぞれ。
キャサリン
「楓ちゃんは、面白いけれど、要するに私たちへの嫉妬でしょ?」
サラ
「確かにガッチリ体型、あれなら山野を歩いて薬草を探せる」
春麗
「とても光君の従妹とは思えない感じ、繊細華奢な光君とパワーあふれる楓ちゃん・・・どうしてここまで違うの?」
ただ、そんなバトルを繰り広げていた春奈の顔がギョッとなった。
ホテルの中から、「天敵の母美智子」が顔を見せたのである。