お伊勢参り(6)
光と巫女たちを乗せたサロンバスは、愛知県内の広いサービスエリアに入った。
そして、由香利が光の腕を組んだまま「何か」を売っている場所に、誘導する。
また、由香利に「光を独占されては困る」巫女たちも、ゾロゾロと後に続く。
由香利は、その「何か」を指さした。
「ねえ、光君、これなの、絶対奈良にはないよ」
光は、けげんな顔から、次第に顔が明るくなった。
「え・・・これ・・・袋入りの・・・キャラメル?」
「それも、八丁味噌キャラメル?」
「へえ・・・マジ?面白そう」
春奈は、サッと光の横に立つ。
「へえ、キャラメルねえ・・・でも、八丁味噌のカレーもある」
そして、そのまま買っている。
華奈の母、美紀も興味津々。
「私も八丁味噌好きなの、お味噌買う、あ、ついでに味噌カツのタレも」
この時点で、美紀は荷物が重たくなった。
そのまま、華奈に持たせているので、華奈はむくれている。
ルシェールは、何も言わずに、味噌キャラメルを買ってしまい、それを開けて全員に配っている。
光は、口に入れて、目をパチクリ。
「へえ、しょっぱさと甘味が不思議、でもお味噌の味がする」
由紀は、ずっとしゃぶっている。
「これは、熱中症予防にはいいかも」
ソフィー
「でも、食べだすと後をひくかな」
ルシェールも食べて、フフッと笑う。
「でもね、これ楓ちゃんの好きな味だと思う、さすが由香利さん」
しかし、華奈は不安な様子。
「確かに、美味しい、メチャ美味しいけれどさ・・・」
春奈は、華奈の不安の内容を読んだ。
「わかった、楓ちゃんが食べ過ぎて、太るとか、お母さんの圭子さんに叱られるってこと?」
華奈が頷くと、何故か光が反応した。
「大丈夫だって、心配ない、楓ちゃんが好きそうなもので、珍しいものを買っていけばいいと思う」
「太る太らないは、考えなくていいよ」
「だって、楓ちゃんが、やせると変だし、コロコロしているほうが、楓ちゃんらしいしさ」
そう言いながら、三袋も買っている。
春奈は、また不安に思うし、また光の無粋さに呆れた。
「ほんと、光君って、若い女の子の心理を、まるっきりわかっていない」
ただ、ソフィーはニヤニヤしている。
「いいさ、三袋も買って行って、思いっきり楓ちゃんに文句を言われればいいさ、それを見るのも楽しみだ」
美紀も、そのソフィーの言葉には笑ったけれど、またもう一つの不安を口にする。
「だってさ、お伊勢さんの参道で赤福買うよね、それと味噌キャラメルになるとさ、楓ちゃんの顔が、どうなるのかなあ」
華奈
「・・・マジで、怖くなってきた」
由紀
「どこかで、耳栓買っていく」
由香利
「光君が怒られるのを録画して、何度も楽しむ」
ルシェール
「やはり、光君は、お土産だけ渡して、今回は教会に泊まるべき」
・・・・・
日本人巫女は、そういう反応。
キャサリン、サラ、春麗は、キラキラした日本のサービスエリアが面白いのか、様々なお土産を買いこんでいる。