お伊勢参り(3)
さて、特に外国人巫女たちが、和風菓子が好きらしい。
キャサリン
「このみたらし団子って、甘辛で美味しくてしかたがありません」
「これはアメリカにも、ヨーロッパにもありません」
「この味ととろみが大好きです」
「それと、濡れせんべいもいいなあ、緑茶にピッタリ」
サラも同じく。
「そう、これはギリシャとか地中海にもありません」
「とにかく甘いものがお菓子のイメージなので」
「ほんと、日本に来て良かったです」
とにかく、パクパク、ムシャムシャと食べている。
春麗も、和菓子中心。
「なんとなくわかる、アジア共通の味を感じる」
「みたらし団子の餡は、大好きだし」
「でも、この濡れせんべいの、しっとりとした、しょっぱさも後を引く」
ただ、そんな感想も最初だけ。
その後は、全員、全てに手を出して、「食べまくり」の状態。
由香利は、そんな姿がうれしい。
「とにかく、伊勢の大神様に参るのですから、元気ハツラツとしてもらうのが一番」
「何でも食欲は健康の基本、大神様もお喜びになられます」
春奈も、巫女たちの食べっぷりに、呆れながらも、笑っている。
「そうだねえ、お伊勢参りと、奈良の楓ちゃん対策には、これくらいのエネルギー補充が必要かな、たくましいこと限り」
「そして、ここまで食べて、また赤福と伊勢うどんって、言いかねないなあ、この子たち」
さて、主役たる光は、途中から華奈の母美紀の肩に顔を乗せて眠ってしまった。
そのため、美紀は華奈が時折気まぐれで、お菓子を渡してくる以外には、食べることができない。
美紀は、それでもご機嫌。
「まあ、いつものことだけどさ、可愛いからいいや」
「この寝顔は、小さな頃から一緒だ」
「華奈より可愛いかも」
華奈がムッとするようなことを言いながら、光の顔を見つめている。