騒動鎮圧の後、それぞれ
光とキャサリンが校長室を去った後、ソフィーと校長は、様々な話をしている。
ソフィー
「光君というか、阿修羅もなかなか面白いことを考えますね」
校長は、少し笑った。
「今回のような神出鬼没の相手に、八百万の神ですか、考えもしなかった」
ソフィーも笑い出した。
「それにしても、あの御雷神とはねえ・・・」
校長も、それには頷く。
「光君も言っていましたが、鹿島神宮の祭神、また春日大社でも祭神にして、伝説の武神ですね」
ソフィーは、モニターのチャンネルをニュースに変えた。
そして、予想通り、アメリカ大使館前の騒動と局地的な豪雨が報道されている。
また、濡れたプラカードを体に巻き付け、火炎瓶を手にした国会議員数名も映し出されてしまっている。
校長は、ソフィーに尋ねた。
「この後、この人たちは、どうなるのでしょうか」
その質問に、ソフィーは苦笑する。
「うーん・・・なかなか無罪放免とはできないでしょうけれど」
「国会議員の不逮捕特権を主張するかもしれませんね」
「おそらくアメリカ本国をはじめとして、全世界にも流されてしまっているんでしょうけれど」
校長は首を傾げた。
「しかし、見る限り明らかな危険行為と思うのですが、人命に関わるような」
しかし、ソフィーは首を横に振る。
「まあ、おそらく、たまたまそこを通りかかって、豪雨にあって、たまたまプラカードが巻き付いて、あっと気がついたら火炎瓶を手にしていたと」
「だから、逮捕などしたら、不当逮捕、政権が横暴であると主張しまくるのでは」
「それに乗っかるというか、知恵を出すマスコミもいるでしょうし」
そのソフィーの答えを聞いて、校長は落胆したような顔になっている。
さて、光とキャサリンが教室に戻ると、さっそく由紀とサラ、春麗が囲んで来た。
由紀
「とにかく、お疲れ様、まさか建御雷神様のお出ましとは、予想しなかった」
サラ
「一番無難で、誰にも傷がつかない手法だったように思います、さすがです」
春麗
「確かに、戦闘だけが手段ではないね、自然界のエネルギーも使うんだね」
光は、それをニコニコして聞いているだけ。
キャサリンが、応えた。
「本当にどうなることやらと思ったけれど、私もまさかでした」
「あの豪雨の力は、人間の戦闘の力を超えていましたし」
光がようやく、口を開いた。
「つまり、状況に合わせて、対処するのさ」
「時には戦闘そのもの、あるいは別の力を使う」
ただ、その目が眠そうに変わっている。
眠いためか、身体も揺れ始めている。
由紀は、少し呆れた。
「だって、ほとんど変化していないし、建御雷神に頼んだだけでしょ?」
しかしキャサリンは、首を横に振る。
「それでも、神霊界との交信、かなり気力を使ったのでしょう」
そしてそのまま、光の腕をギュッと組んでしまった。
光は少し顔を赤らめているけれど、どうにもならない。
そしてキャサリンに声をかけた。
「ありがとう、キャサリン、実は本当に眠い」
「少し支えておいて欲しい」
今度は、キャサリンの顔が真っ赤になっている。