由香利特製弁当と光と女子たち、国際問題発生の予感?
由香利特製の「さわらの菜種焼き弁当」も、光には本当に美味しかったようだ。
ペロリと平らげてしまった。
また、表情もご機嫌な感じである。
それを見て、由紀と光の昔からのクラスメート女子は、少々がっかり気味。
「いつも由香利さんのお弁当の時は、光君の食欲は増す」
「玉子焼きで完敗したことがあったけれど、マジで悔しい」
「私、マジで由香利さんに弟子入りするかな」
「和食の基本から、出汁の取り方から教えてもらおう」
・・・・・などと、様々声が出るけれど、光はいつもの通り、全く無頓着。
窓際に立って、グラウンドを眺めている。
その光の隣にキャサリンが立った。
いつも真面目でキチンとしたキャサリンではあるけれど、それにも増して、真面目顔になっている。
光も、それには気がついたようだ。
珍しく自分から、キャサリンに声をかける。
「ねえ、キャサリン、何かあったの?」
キャサリンは、その真顔のまま、光に答えた。
「うん、光君、手伝って欲しいことがあるの」
「それと、難しいのは・・・」
何か言いづらいことがある雰囲気になっている。
光も、その雰囲気を察した。
「この教室内では、話しづらいのかな」
「そうなると・・・」
キャサリンは、光にコクリと頷く。
「あまり、他の巫女に迷惑をかけたくないの」
「できれば、少人数で対処したい」
光は、キャサリンの目を見た。
「校長室なら、結界があるので」
と、歩き出す。
キャサリンも、そのまま光の後ろを歩き出した。
結果的に、光とキャサリンを見送ることになった他の巫女は、少し当惑している。
由紀は首を傾げた。
「キャサリンの他の巫女に迷惑をかけたくないというのは、何だろう」
サラも、様々考えている。
「今まで、ほぼ一緒に行動していた私も春麗も呼ばれないということは・・・」
春麗は、サラの顔を見た。
「そうだね、おそらく国際問題になる可能性も考えたのかな、私達外国人巫女のバックには、それぞれの大使館がついているから」
その光とキャサリンの様子は、華奈も透視で読んでいた。
「うーん・・・キャサリンはキチンキチンとした性格だから、いわゆる恋愛とか光さんのお嫁さんアピールをこんな学園ではしない」
「それで、特別に少人数でってなると・・・派手にやると問題が発生するんだ」
春奈も、しっかり読んでいた。
「うん、何か騒動の予感がする」
「少人数で対処ってなると・・・その方が効果的なのかもしれない」
「どっちみち、私の巫女キャラは癒し系だから、騒動そのものには対処は難しいけれど」
さて、ソフィーのスマホには、「異変発生通知」があったらしい。
その通知を見るなり、ソフィーは苦々しい顔。
「呆れるなあ、ありえない、まさに国際問題になる」
「それにこんなことで、状況が改善するなんてハナから思っていないはず」
「それをあえてやるんだから、嫌がらせでしかないね」
「また、それをマスコミが煽るし・・・」
「それに乗って騒ぐだけの議員もいるのか・・・」
ソフィーは、スマホを見ながら歩き出した。
そして、向かうのは、光とキャサリンが入った校長室。
何のタメライもなく、校長室のドアを開けてしまう。