巫女たちの疑問と解決策?
薬師如来の薬壺を阿修羅から受け取った春奈は、完全に緊張、硬直状態になってしまった。
「う・・・恐れ多いなんてもんじゃない・・・」
「こんな私に、こんなすごいものを・・・」
また、他の巫女もあっけに取られて、阿修羅、地蔵、春奈を見ている。
阿修羅が春奈に笑いかけた。
「春奈さん、小さな薬壺なんだけれど、小ささには意識はいらないよ」
阿修羅の言葉で、地蔵がまた笑う。
「はい、全く大きさには関係がありません、なくなれば自動的に補充をするとの、薬師如来様のお考えですので」
「はい・・・」
春奈は、ますます恐れ入ってしまう。
阿修羅が話を元に戻した。
「とにかく認識して欲しいと思うのは、現段階で蠅の悪神、蚊の悪神、ベリアルの動きは、全て我々の監視下にある」
「光君を含めて、君たちに願うのは、動きが発生した時点での迅速な対処」
「蔓延の被害を防ぐには、初期段階の駆除が大切」
その阿修羅の言葉に、地蔵が頷き、阿修羅に目で合図。
そして途端に眩い光とともに、阿修羅と地蔵の姿が、消えた。
巫女たちが、ようやく目を開くと、光がいつもの通り、ボンヤリとしてソファーに座っている。
ボンヤリとして、少々眠そうな顔になっている。
春奈は、すっと光の隣に座った。
そして、そのまま他の巫女を制するように、光と腕を組んでしまった。
光は、顔を赤くしている。
春奈は、光に声をかけた。
「光君、お疲れ様、でも阿修羅様と地蔵様のお話で、たいていのことはわかった、薬師如来様からも薬壺をいただきました」
光も、少々疲れているようではあるけれど、頷く。
「そうだね、僕も聞いていたし、薬師様のお薬も本当にありがたい」
ソフィーが、反対側から光の腕を組んだ。
「さっき、阿修羅が語ったのは、蠅の神、蚊の神、ベリアルにしろ、全て監視下にあるということ」
「その意味において、光君と私たちが、動けるような連絡が入るのだと思う」
ソフィーの目の色が深くなった。
そして、まず光の顔、そして巫女全員の顔を見た。
「もしかすると、日本各地、必要に応じてなのかもしれない」
「あるいは、私たちの前に誘導されるのかもしれない」
由香利が、ソフィーに質問をした。
「でも、ソフィー、日本各地って言われても、移動はすぐに出来ないよ」
「どうやって駆除するの?」
その由香利の疑問は、他の巫女も同様らしい、全員が首を傾げている。
すると、光がクスッと笑う。
そして、その目を輝かせる。
「あのさ、今さら何を言っているの?忘れちゃったの?」
ソフィーも笑っている。
「あのさ、富士山麓の闘いの時と同じだよ」
「光君は、鳥神カルラの背中に乗って、私たちは地蔵様の宝珠に取り込まれて、一瞬で移動、行きも帰りも、一瞬だったでしょ?」
由紀も思い出したようだ。
「そうだったなあ、すっごい体験だった」
華奈は、興味津々な顔。
「そうなると、全国各地に行けるのかな、それも楽しみ」
華奈の言葉は、巫女全員の心を捉えたようだ。
全員の目が輝いている。