表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/371

華奈の作戦?しかし・・・

キャサリン、サラ、春麗のクラス内での紹介も終わり、始業式当日の学園内での行事は、終了となった。

光としては、「家に帰る」以外には、何も考えていないけれど、やはりそんな簡単には、話が進まない。


担任が「じゃあ、また明日」

と言って、教室を出た瞬間、華奈が飛び込んできたのである。


そして、華奈はさっそく大騒ぎをはじめた。

「ねえ!光さん!まっさか、このまま帰るなんて怠け心を出してはいませんよね!」

「いいですか?光さんは音楽部の三年生になったんです」

「そろそろ、夏のコンサートの演目も決めなくてはいけないんです」

「わかってます?光さん、指揮者なんですよ?」

・・・・

とにかく大騒ぎをしているけれど、華奈の言いたいことを要約すれば、

「光はまっすぐに帰宅してはいけない」

「音楽部の三年生、しかも指揮者として、夏の演奏会の曲目を決めなくてはいけない」

「だから、音楽部にいかなければならない」

ということになる。


ただ、華奈の「本当の下心」は、音楽部に「光を連れ去る」「光を独占」である。

そして都合よく、合唱部の由紀は、まずジョイントコンサートでもしない限り、この音楽部行きに関係することはない。

今日からの転入生の、キャサリン、サラ、春麗にいたっては、音楽部に「光を連れ去る」「光を独占」することにより、校長室でコテンパンにやられてしまった「仕返し」もできる。

華奈にとっては、「完璧」な作戦だった。

華奈も言い終えて、目一杯の笑顔で光に微笑むことが出来た。


しかし、その華奈の「完璧な」作戦は、あっさりと破綻した。

何しろ、「連れ去り独占対象の光」が、まず予想外のことを言い始めた。


「そうだねえ、曲を決めるんでしょ?」

「いいよ、音楽部のみんなが演りたい曲で、何でも振るから」

やはり、ナマケものの光は、「面倒くさい」という気持が先に立つ。

何より、「早く家に帰ってベッドにゴロン」の意思が強いようだ。


華奈は、光のそんな言葉を聞いて、本当に焦り、そして怒った。

「だめです!光さん!そんないい加減なことは許しません!」

そして怒ってしまえば、もうタメライも何もない。

いきなり腕を伸ばして、光の腕を組もうとする。


そんな華奈と光の様子を「呆れ顔」で見ていた由紀が、ようやく声をかけた。

「ねえ、光君、私も合唱部の部長なの」

「それでさ、夏のコンサートにさ、合唱部とジョイントしてくれない?」

「光君がいいって言ってくれたら、私も音楽部の話し合いに加わるし、他の合唱部のみんなにも声をかけるんだけど・・・どう?」


すると光の答えは、超簡単。

「へえ、由紀さん、面白いねえ、それじゃあ話し合いに行くかなあ」

超簡単に承諾して、おまけにニコニコと笑っている。


華奈は、またしても焦った。

華奈が必死に説得して腕まで強引に組もうとした途端に、光は由紀の言葉で「アッサリ」と考えを変えてしまっている。

「・・・情けない・・・私って何?」

華奈は、涙目になりかけてしまった。


そんな落ち込み状態の華奈の肩を、突然、春麗がポンと叩いた。

「え?」と言う顔で、華奈が春麗を見ると

春麗

「華奈ちゃん、あのね、私たちも話し合いに参加するから、みんなで行こう」

キャサリンは由紀にも声をかけた。

「由紀さん、これには理由があるの、実はかなり深い、そうでなければいけない理由がある」

最後にサラが、光の顔を見た。

「大丈夫、心配はありません、みんな音楽の名手です、光君、ご存知では?」


不思議なことに、光はその言葉を聞いた途端に笑顔で、歩きだしている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ