絶品ルシェールのフランス家庭料理
赤坂の大聖堂で、天使長ミカエルの報告を受け、その後ルシェールのシュークリームとキャサリンの紅茶を味わった一行は、教会の完全祈祷バスで帰宅した。
ルシェールが、光に声をかけた。
「ねえ、光君、今日は私が作るよ、お昼は残念だったけれど、しっかり食べてね、光君の好物にするから」
光は、にっこりと笑う。
「ごめんね、お昼はお腹が痛くて食べられなかった、でもさっきのシュークリームで食欲が戻ったから、食べられるよ」
ルシェールも、うれしそうな顔。
「光君の笑顔が、一番好き」
と言って、手を握ってしまい、
「いろいろ乗り越えて、二人は成長するの」
と肩まで預けている。
そんな状態で、少々他の巫女は、文句を言いたかったようだけれど、さすがに「ルシェール最強」は、実感としてあるらしい、誰も何も言えなかった。
さて、ルシェールが作った夕食は、フランスの家庭料理だった。
「具沢山のポトフ」
「カスレ:白インゲン豆の煮込み」
「タルティフレット:ジャガイモとチ−ズとべ−コンのグラタン」
「ブフ・ブルギニヨン:牛肉の赤ワイン煮込み」
などが、すでに下準備してあったのか、スムーズに出来上がってしまった。
まずは華奈
「このポトフ、味が濃厚だけれど、すんなり口に入る、まさに滋養強壮って料理だね、すごく好きな味、さすがにルシェール」
春奈も、ルシェールの料理にはご満悦。
「カスレは、とにかくどっしり系だね、白インゲン豆とソ−セ−ジ、鴨の塩漬け、豚肉、トマト、オニオン、ニンジン、ブ−ケガル二を長時間煮込んでからオ−ブンで最後に焼き色が付く程度に焼くんだ」
ソフィーも食が進む。
「白インゲン豆が全ての具材のうまみと脂を吸って美味しい、柔らかい」
由香利は、まずタルティフレットを口にする。
「塩茹でしたジャガイモと炒めたべ−コンとチーズとオニオン、ニンニク、塩コショウだけ、シンプルだけど美味しい」
由紀もこのグラタンが好きなようだ。
「まさに大地の恵みって、料理だね、口に入れるごとに力が湧いてくる感じ」
キャサリンは、牛肉の赤ワイン煮込みを目を閉じて味わっている。
「さすが、ルシェールですね、ブルゴ−ニュの郷土料理です」
「大きめの牛肉とべ−コンの角切り、オニオン、ニンジン、セロリ、マッシュル−ム、エシャロット、ジャガイモ、トマト、にんにく、ブ−ケガルニを赤ワインに一晩浸しておいてから煮込む」
サラも、牛肉の赤ワイン煮込みを食べている。
「さすがルシェールならでは、肉の柔らかみとソースのコクが絶品です」
春麗は、全てに感心している。
「やはり、フレンチ、侮れない、どれも完璧に美味しい」
さて、ルシェールが作ったフランス家庭料理は、光の口にも合ったようだ。
とにかく、食欲旺盛になって、食べている。
ルシェールは、そんな光の食欲がうれしい。
「ありがとう、光君、やっと戻ってきたのかな」
光も、ルシェールには感謝しているらしい。
「うん、とにかく美味しい、すんなりと身体に入っていく」
「こちらこそ、ありがとう」
そんな状態で、ルシェールが作ったフランス家庭料理は、全ての巫女にも満足を与え、完全に食べきってしまった。
さて、食後のお茶の時間、光が全ての巫女を前に、おもむろに話はじめた。
「みんな、聞いて欲しいんだけど」
光は、真顔になっている。
ルシェールの料理話に夢中だった、全ての巫女も真顔になった。
光は、言葉を続けた。
「今までの戦いとは、違う戦いが必要になると思う」
「それで・・・」
全ての巫女の注目は、光の次の言葉に集中している。