光の結界強化?居眠り防止?
始業式が終わり、学生たちは、それぞれの教室に戻ることになる。
当然、光は由紀と歩いて戻るけれど、転入生のキャサリン、サラ、春麗も同じ教室に入ってくる予定。
由紀が光に声をかけた。
「転入生三人は、私たちより少し遅れて、担任と一緒に来るのかな」
光は、いつものボーッとした感じ。
「そうかなあ、でも、どうでもいいや、何か頭痛がしていてさ」
由紀と光が、そんな話をしていると、華奈がいきなり二人の隣に並んだ。
「ねえ、由紀さん」
華奈は、まず由紀に声をかけた。
その顔も厳しい。
「いい?由紀さん、由紀さんだって妖しいけれどさ、光さんに対してあの外国人が妖しいことをしないように、しっかり見守ってよ!」
「光さんの妻は、私にしか出来ないんだから、そこのところを、しっかりと・・・」
由紀は、華奈の言葉に呆れた。
そして、ついつい華奈に反発、言い返す。
「あのさ、華奈ちゃん、途中までは納得できたけれど、その妻発言、いい加減にやめてくれない?」
「華奈ちゃんって、妻だ妻だって言いながら、何ができるの?お弁当を一回でも作ったことあるの?朝大騒ぎして、光君を起こすことしか出来ないじゃない」
「それじゃあ、単なる目覚まし大騒ぎ娘でしかないって」
華奈は、またしても、そこで言い返せなくて沈没、ムッとしているだけの状態になってしまった。
さて、少々日本人巫女の中で不穏な雰囲気はあったものの、光と由紀は、自分の教室に入った。
そして、光と由紀が、いつもの座席につくと、ちょっとした異変に気がついた。
由紀
「私が光君の隣というのは変わっていないけどさ」
光も、珍しく気がついた。
「僕の前の席と、後ろの席と、左の席に誰もいない」
「学園やめちゃったのかな」
首を傾げている。
そんな状態の史に周囲の学生が教えてくれた。
「あのね、校長先生の指示でね、光君の前の席と後ろの席と左の席は、例の外国人子女三人が座るんだって」
「担任にも聞いたけれどさ、担任は光君の居眠り防止措置って言っていた」
光は、そんなことを教えられて、「マジ?居眠りできないの?」と、少し焦るけれど、由紀は違う意味で焦り、また不安も感じた。
「これって、光君を四人の巫女で囲むってこと?」
「それって・・・どういう意味?」
「光君保護の結界強化?」
「それほどの戦いになるってこと?」
由紀が、少し震えていると、担任が三人の転入生を連れて、教室に入ってきた。
担任は教壇の中央に立ち、
「はい、皆さん、始業式でも紹介した通り、今日からこの学園、このクラスに、キャサリンさん、サラさん、春麗さんが来られました」
と話すと、キャサリン、サラ、春麗がニッコリと頭を下げる。
担任は話を続けた。
「まあ、三人とも、完璧な自己紹介、これ以上は無いと思うので、それぞれ席についてもらいます」
「まず、キャサリンは、光君の前の席、サラさんは光君の左隣、春麗さんは後ろになります」
その担任の言葉により、キャサリン、サラ、春麗が、それぞれの席に着いた。
担任は、それを確認して、話を続けた。
「それからね、三人とも外国人でもあるし、学園にも不慣れということもあるので、クラス全員に慣れるまで協力してもらうのは当然なんだけど」
そこで、担任は、由紀の顔を見て
「一応、メインのお世話係を、信頼感抜群の由紀さんにお願いします」
と、由紀にお願いをしてきた。
由紀も、断る理由も状況ではなかった。
「わかりました、よろしくね!」
と、目一杯の明るい顔で、キャサリン、サラ、春麗に声をかけると、三人ともニコニコと笑っている。




