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大事故を未然に防いでも、叱られる光

キャサリンが、若い女性を連れて、ベビーカーの前に着いた。

その若い女性は、おそらくベビーカーに乗せられた子供の母親のようだ。

子供を見るなり、泣き出してしまった。

「ごめーん・・・怖かったでしょ、ごめーん・・・」

同じ言葉を何度も繰り返す。


ソフィーが、母親に問いただした。

「どうして、ベビーカーを手放すんですか?」

「本当に、大事故寸前だったんです」


母親も、それはわかっていたようだ。

「すみません、つい、隣の奥様と話し込んでいて」

「ベビーカーにストッパーを掛けていたとばかり、思い込んでいて」

「あっと思ったら、転がってしまって・・・」

そこまで言って、言葉が続かない。

やはり、かなり大きなショックだったようだ。


ソフィーが母親に再び声をかけた。

「とりあえず、ここにいる高校生の光君と、同じ学園の女の子たちが動いてくれて、無事となりました」


母親は、光と、巫女たちの顔を見た。

そして、深く頭を下げる。

「光君、それから皆さま、本当に・・・ありがとう」

途中から泣き出してしまって、やはり声もでない。


さて、光は、その母親の顔を見て、少し笑っただけ。

「とにかく無事でよかったです」

「僕たちは、学校があるので」

くるっと、踵を返して歩き出してしまった。


しかし、ソフィーはそれでは困るらしい。

キツメの声を光にかける。

「だめだって!光君」

「もう少し事情聴取とか必要なの」

「これだけの人が見ている前で、大事故を寸前に防いだの」

「警察だって、そのまま、はいサヨナラってできないの」

「それから、積荷にも危険なものが入っているの、わかっているんでしょ?」

「調査に付き合いなさい!何を考えているの?またナマケぐせなの?」

「光君だって、首相直属の特別調査官なんだよ、それわかっているの?自覚があるの?」


少し遅れてしまい、途中から様子を見ていた春奈も、光に声をかけた。

「光君、校長先生には、私から連絡する」

「大事故を未然に防いだ、それだけでいいってわけじゃないの」

「ソフィーの言う通り、警察に協力しなさい、それくらいの判断力を持ちなさい」

「いい?しっかり、後始末しなさと、怒るよ」

春奈の口調も、かなり厳しい。


そのソフィーと春奈の厳しい口調に、他の巫女は、まったく言葉を出すことができない。


それでも、華奈は思った。

「ソフィーと春奈さん、言葉がきつ過ぎる」

「少なくとも、まずは光さんが、頑張ったんだから、よくやったとか、ご苦労様って言わなければならないのに」

「そんなことを何も言わないで、ただ叱りつけるだけ」

「あれじゃあ、まるで光さんが悪いみたい」

「光さんが可哀そうだ」


そして華奈が光を見ると、予想通り、「意気消沈、ヘキエキ」状態になっている。

その上、光は、身体も、かなり疲れてしまったらしい。

途中から、ルシェールと由紀に、支えられている。


しかし、ソフィーと春奈は、それも気に入らないようだ。

ソフィー

「ねえ、光君!高校三年生の男子でしょ?何でシャキッとできないの?」


春奈も、厳しい。

「全く、これほどみんなが支えてあげているのに、去年の夏から、何も成長がない、呆れてものが言えない」


光は、下を向いて、肩もガックリと落としている。


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